熊野チュートリアル第二編 – 那智大社

前編に引き続き、近年 世界遺産に登録され海外にも知られるところとなった、和歌山県・三重県の熊野地方からのお話をお届けします。行楽シーズンもたけなわ、南紀や熊野古道・三山詣でをお考えの方は、ご参考の一片としていただければ幸いなのですが・・。

一千年の昔から数多の人々の参詣地として賑わった熊野古道・三山・・とはいうものの、現在、白衣・脚絆に草鞋姿で古道全線を歩く人は稀です。 紀伊路や高野山町石道を別にしても六つの道それぞれ、区間100〜170kmに及ぶ距離を徒歩で踏破することは現実的ではありません。

よって 今回は “今” 熊野を訪れる上で「熊野那智大社」巡りをベースに、 “辛くない程度で古道を味わいながら、しっかり参詣・観光も味わえる・・” という “ナメタな” スタンスでお話を進めていきたいと思います・・w。 (* ナメタ=怠け者・都合のいい奴 の和歌山弁)

 

と、その前に・・。熊野地域に至る 和歌山県と紀勢地域についての事情をば・・。 自分が住んでいる県でこう言うのもなんですが、当地は公共交通機関が あまり網状に発達していないため、こまめに融通の効いた旅程を組むのに難しい面があります。(鉄道路線での南北移動が 沿岸沿いの一路線しかない)

ネット上には “日帰りでも・・” という向きの文言も見られますが、古くから “陸の孤島” などといわれた紀伊半島のそれも南部。 例えば大阪駅からJR阪和線・紀勢線・特急くろしおを使っても、勝浦・新宮まで片道4時間ほど掛かってしまいます。(新幹線の東京〜広島間位w)

4時間×往復+2時間程度の散策でスムーズにいって計10時間・・。関西空港利用でもさほど時間は変わりません。東京・羽田空港から南紀白浜空港までは片道一時間余りですが、そこからまた新宮まで2〜3時間掛かります。

また、自動車を使っての移動なら、近年 奈良・京都方面との連絡、南紀方面への延伸が果たされ、一般道も含めて整備が進められたため、移動時間の大幅な短縮がなされましたが、それでも和歌山市〜新宮市まで片道2〜3時間を要します。

“日帰り熊野” が不可能とは言いませんが、せっかくはるばると来た熊野国。1〜2泊 の予定を組んで三山・古道をしっかり味わい楽しまれた方が、結果的に満足感の高いものになるのではないかと思うのです・・。

 

のっけから何か自虐気味のスタートになってしまいましたがw、以上のことを踏まえて、何はともあれ先ずは “勝浦(東牟婁郡那智勝浦町)” から “新宮市” の周辺で宿をとることをお勧めします。熊野三山、那智大社、速玉大社、本宮大社は全て この地域に立地していますので・・。

また勝浦からこの近辺一帯は海産物の宝庫、普段、中々味わえない新鮮な魚料理は、参詣が目的とはいえ外せない旅の楽しみですしね。

とりあえず、古道 +『熊野那智大社』ルート、「大門坂」を目指して JR紀伊勝浦駅 から “那智山” 行きのバスが出ているので、それを利用するのが一番手軽で良いでしょう。(熊野御坊南海バス 1時間に1~2本程度発車 参考サイト

このバス、乗っていると そのまま「那智の滝」「熊野那智大社」と最終目的地まで連れて行ってくれますが、それだと古道もロクに歩かず有り難みも減ってしまいます。「大門坂」(大門坂駐車場前)で下車して上手(かみて)を目指して歩きましょう。(車・レンタカー(駅周辺にあり)の方も “大門坂駐車場” に停められます。)

 

駐車場から5~7分ほど歩くと「大門坂」「熊野道」などと書かれた石柱が立っており道が分かれていますので、自動車道に別れを告げ そこを左手の道に進みます。ここから登坂道がはっきりしてきます。しばらく上ると “大門坂直進” の看板と その先に見えてくる鳥居・・赤い橋の欄干。そして “大門坂茶屋” を横に見ながら・・ここからが 石段と大樹に囲まれた「熊野古道」の本筋です。多富気王子(たふけおうじ)の石碑なども目に留めていってくださいね。

上部「那智山駐車場」まで続く “古道” の長さは約1.3km、通常 40~50分ほどのトレッキングとなるでしょうか・・。後半に行くに従い勾配がキツくなるというのが 少しだけハードですが、行程のほぼ大半が石段敷きとなっていますので、自分に合ったペースでゆっくり歩けば、どなたでも踏破できるコースかと思います。(万が一ケガや持病がもとで足元が不安になったときは、コース前半1/4位の所(石灯籠のある付近)で車道に接し “熊野古道” バス停がありますので 早めに見切りを付けましょう)

見事「那智山駐車場」まで登り切ったら駐車場を右に・・少し行くと “那智大社・青岸渡寺 参道入り口” があります(表参道)。 お参りの後は裏参道を通って “那智の滝” に向かいましょう。 お参りの時間にもよりますが、那智駐車場から滝までおよそ1~2時間といったところでしょうか。 お帰りは “那智の滝前” バス停から乗られるのがベストかと思います。

“バーチャル熊野古道” ・・でもありませんが、Googleストリートビューで、この大門坂古道の簡易体験が出来ますので、宜しければやってみてください。大体の感じや距離感がつかめます。 クリックでストリートビュー → “大門坂 入口付近から”

 

さて、決して そんなつもりはないのですが、今回 付け足し扱いになってしまった「熊野速玉大社」そして「熊野本宮大社」について言上奉ります (^^;)。

熊野本宮大社(大斎原)

熊野速玉大社

熊野那智大社(別宮 飛瀧神社)

言うまでもなく「熊野速玉大社」「熊野本宮大社」とも「那智大社」と比肩する名大社なのですが、今回 “歩きやすい古道” を盛り込むために本題から外しました。

「熊野本宮大社」は他二社から少々離れた山手の谷間に建っています。「熊野速玉大社」は新宮市の街中にあります。 どちらも往古には “古道” に連なって立していましたが、現在それらの “古道” は若干使い難い連絡となっています(本宮大社裏に中辺路石畳道などはありますが) 結果的に本題は参詣・古道観光の点から「那智大社」を優先した次第です。

とは申せ、三社 全ていずれ劣らぬ名社であることは申しあげたとおりですし、どうせご来訪いただけるなら “三山詣り” は外せないルートですので、最後にこれらを手軽に周れる手筈として「世界遺産熊野三山めぐり(所要時間:約6時間40分)お弁当つき」だけ ご案内しておきます。

上記 那智大社 “大門坂” 駐車場行き と同じく “熊野御坊南海バス” が運航している簡易ツアーパッケージです。 一通りの三山巡りが気楽にできるので良いのではないでしょうか。事前に予約や運航状況をご確認ください。

・・そして、はてさて、前後二編で終わらせるつもりでしたが、忘れ物がまだありました。最終 第三編では、その忘れ物とともに、熊野の民話をお届けする予定です・・。

「熊野御坊南海バス株式会社」 公式サイト

『熊野本宮大社』 公式サイト

『熊野速玉大社』 公式サイト

『熊野那智大社』 公式サイト

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