30数年前、熊本・鹿児島・そして宮崎の南九州三県を3泊4日で巡りました。 新婚旅行の行き先として・・。
当時、既にハネムーンリゾートの人気は沖縄や海外に移りつつあり、昭和40〜50年代に新婚旅行のメッカと謳われた頃ほどの活気は薄れていましたが、まだ国内旅行から第二の人生をスタートさせようという堅実派のカップルも相当数残っていました。
私達の新婚旅行は 丁度そのとき南九州を襲った台風19号(平成3年)と入れ替わりの九州入りだったので、予定がふいにならないかハラハラしたものです。 熊本城の一部が損壊していて観覧できなかったことを憶えています。
熊本から特急で鹿児島に入り2泊しました。 美味しいものをいっぱい食べて、レンタカーで各所を巡り、何か急に雪のようなものがたくさん降ってきたと思ったら桜島の降灰でした。
3日目に到着したのが本日ご案内の宮崎県ですが、入県した日に日南市の鵜戸神宮、翌日に宮崎市の青島神社にも訪れました。
“参拝” と書かないのは、結婚したとはいえ当時まだまだ若造、由緒ある神仏や聖地など興味がなく ただ観光目的だったが故です。 今にして思えば信心がないとはいえ、もっとしっかり味わっておけば良かったと思うことしきり ( ̄へ ̄|||) ウーム
ともあれ、九州入りの午前中を除いて旅行は晴天に恵まれ、特に宮崎での青々とした、海岸線の見晴らしと空とのトーンの美しさは深く心に刻まれたのでした・・。
『青島神社』 宮崎県青島地区にある青島全域を社地とする神社。青島と陸地側は弥生橋で架橋されていますが、近年では砂州の堆積が進行し いずれ陸続きの島になるともいわれているそうで・・。
島の周囲を取り巻く「鬼の洗濯板(岩)」は、砂岩と泥岩が複雑に入り混じった地質が約1500~3000万年前に海中で形成され、後に海上へと隆起し波に侵食されて出来たもの。
目にすることができるのが干潮時のみとはいえ、その特異な姿は中々目にする機会のない異界のごとき景観。国の天然記念物にも指定されています。
まこと奇景なのですが、これが爽快な青い空と海に映える眺めが、ミスマッチのようなベストマッチのような奇妙で美しい光景なのですよね・・(^^)
青島神社は御祭神に “彦火火出見尊(ヒコホホデミノミコト)” と妻である “豊玉姫(トヨタマヒメ)”、並びに御二人の仲立ちともなった “塩筒大神(シオヅツ)” を祀る、まさに陸と海を取り持つ結びと繁栄の社といえるでしょう。
故なるか “縁結・安産・陸海の安全” を神徳として、悠久の尊崇を集めています。 創建不明ながら日向土産という平安期の巡視帳に、嵯峨天皇の御代に既に祀られていたという記録があり、これが正しければ1200年をゆうに超える年代を刻んできたことになりますね。
島内には本州以北ではあまり見ることのないビロウ、フェニックス、ジャガランダ、ハイビスカスなど亜熱帯植物が繁茂し、伝わる神話や浦島伝説と絶妙な対比を見せながら、日向の古社としての威容を保っています。
南国情緒漂う境内を歩くとそれはまるで亜熱帯の植物園を楽しんでいるようでもあり、束の間 神社に参拝していることを忘れてしまうほど。 それだけ この社には独特の存在感が充溢しているのです。
青島神社のある島内が、こうした自然環境を今に伝え続けている背景には粛々たる保全の努力があってこそですが、280年ほど昔まで、一年の大半が禁足地として扱われていたことにもあります。
当時、島に入ることが許されていたのは神職や藩の島奉行などの役人のみで、一般の人は立ち入りできなかったそうです。まさに聖地たる所以でしょう。
とはいえ、地元の民にしてみれば敬慕すべき地鎮の社、旧暦3月16日に行われる「島開き祭」から末の「島止め祭」の半月間のみ、一般の者の入島が許される特別な期間があり、これを「春祭」としていたそうです。
海にまつわる神として、漁と航海の安全祈願を捧げる渡御祭「夏祭」(旧暦6月17・18日) を年の間に挟み、南国といえど寒風吹き荒ぶ これからの季節に行われるのが「冬祭」別名「裸まいり」と呼ばれる祭事です。
古くは旧暦の12月17日の夜半から夜を越して裸で海に入る過酷な祭事で、千日参りに比する荒行とされていましたが、安全面などへの配慮から、現在では1月成人の日を目処に昼間の寒中禊(みそぎ) となっているのだとか。
それでも一年で最も寒い季節に水に入る厳しさには変わりありませんが・・。(^_^;)
また この「裸まいり」は単なる寒中水泳や入浴の類ではなく、その所以には 青島神社の三柱の御祭神にまつわる伝承に関わっています。
三柱の御祭神、”ヒコホホデミ”(山幸彦)、”トヨタマヒメ”(乙姫)、”シオヅツ”(亀)。つまり “浦島太郎”伝承の太郎が “海積宮”(竜宮城)を辞して数十年ぶりに浜に帰り住まいとしたのが青島であるということ。
さらに、太郎の突然の帰還に驚いた浜の漁師や人々が、裸で駆け寄り出迎えたという伝説の故事に基づいているのだそうです。
新婚旅行から30数年、有り難いことに今日に至るまで愛想を尽かされることもなく、何とか夫婦・家庭とも維持してくることができました。 信心は薄くてもご利益いただいたということでしょうか。
常春の長閑な国かと思いきや、冬には寒厳の由々しき行事。 それでいて、やはり縁結び神徳ならではの温かく慈愛溢れる青島神社。そして日向の国。
やがて帰ってくる春の陽射しを前に、冬の宮崎県を訪れるのもまた一興かもしれません。 日和の良い日を見定めてぜひ・・。







