神の地が伝える幽玄の趣 そして石のささやき – 岐阜県

東西南北、どこを向いても森、また森・・・。
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これは 岐阜県 七宗町(ひちそうちょう)ホームページ 観光情報に掲載されている案内文の一節です。 まるで 昔話に登場する深い山里を物語るかのようですが、そこは現代のこと、七宗町に至り巡る交通路は整備され、名古屋市内からでも1時間程度でアクセス出来る自然の別天地と言えるでしょう。

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この七宗町を縫うようにして流れる「神淵川」はその名の通り「神の淵」 往古から神宿る地として崇められ慈しまれ、時に畏れられてきた場所でもありましょう。
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七宗町のほぼ中央、葛屋の里の北に仰ぐ天王山(てんのうやま)、その頂からこの神淵川そして七宗の町を見守るかのように立する「神淵神社」は、神山と民草を護る社として その創始を大和時代にまで遡る幽玄の歴史を紡いできました。
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天王山 は古来より別名 御佩山(みはぎやま)の名を持っていました。「佩(はぎ・はい)」とは古代において腰に付ける帯やそれに付ける刀剣や飾り物、そしてそれらを腰にまとうことを表します。
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この「神淵神社」の御祭神は 素戔嗚尊(スサノオノミコト)とその妻君 奇稲田姫命(クシナダヒメノミコト) 神の時代、高天原に登る須佐之男命が自らの腰に佩く十劵剣(トツカノツルギ) をこの山に祀ったとされる神話から 御佩山・御佩郷 の名が冠されたと伝わります。
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又、別話として壬申の乱を挙げた 大海人皇子(おおあまのおうじ・後の天武天皇)が戦勝祈願を立てて神鏡を奉斎したとの逸話も残されており、いずれにせよ美濃の山間の地にこれほど神話と歴史に彩られた社が息づいていたことに改めて驚かされます。
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社を象徴する「天然記念物 神渕神社ノ大杉」ひと文字2m四方の ”御佩郷” 大文字が刻まれた「磨崖文字」など、社格において ”郷社” でありながら 岐阜の地で “金幣社” という特別な扱いがなされていた「神淵神社」 神社巡りがお好きな方なら是非とも外せない一社ではないでしょうか。

 

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さて、もう一点、この七宗町を語る時に外せないポイントが「石」
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昭和45年(1970年)神淵川から続く飛騨川の一角「飛水峡」で 一塊の片麻岩 が発見されました。 この石を内包していた礫岩(上麻生礫岩)は 約1億6000万年前の地層、この片麻岩 単体に至っては、解析により何と約20億年前の岩石と鑑定されたのです。
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20億年前 と言われても地球規模の歴史学識をもたない者にはピンときませんが、先カンブリア時代、まだ生物はおろか植物もなくバクテリアのような原始生命体、そして一部の藻のようなものが有ったような時代だそうです。
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自然の作用以外で何ひとつ動くものの無い世界、どんな光景だったのでしょう・・
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発見された「石」は 地学など多岐にわたる学術的価値が高いものであると同時に、名実ともに町の宝でもあり、町はこれを記念・起点として 平成8年 飛水峡の河畔に「日本最古の石博物館」を開館しました。
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「日本最古の石博物館」は その名の通り飛水峡で発見された20億年前の石 とともに、カナダ北西部アカスタ地方で見つかった 地球最古の石とも言われる39億6千万年前のアカスタ片麻岩の一部をも展示されています。
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館では貴重な石の展示にとどまらず、地球誕生から現在に至るまでの46億年の歴史をわかりやすく学べる展示や取り組みを行っており、「おじゃる丸」(NHK-Eテレで20年以上にわたって放映されているアニメ番組)に登場する ”カズマ君” のように “石マニア” ”地学マニア” の人には垂涎の施設であり、また、地学はよく分からないが歴史や自然は大好きという方にも一見の価値がある博物館と言えるのではないでしょうか。
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博物館の横手には「道の駅 ロック・ガーデンひちそう」も隣接しており、ドライブがてら行楽とともに博学に磨きをかけるのにも良さそうですね。

 

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そして、この「日本最古の石」に因んで誕生した町のキャラクターが「レッキー君」と「レッキーちゃん」 少し “おにぎり” を思わせるような愉快な姿と愛嬌のある面立ちが特徴的な岩石のキャラクターです。ご年齢は「レッキー君」が(やはり と言うか・・)20億歳、「レッキーちゃん」は・・詳らかにされていませんが、女性ですし一応19億9千9百999・・ということにしておきましょうかw その堅牢そうな見た目と裏腹に好きなものはマシュマロだそうです。
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20億年もの間、地球 そして七宗の町を見守ってきた「レッキー君」と「レッキーちゃん」元々 恋人同士だったようですが、何と昨年(2019年)9月にご結婚されたそうで七宗町におめでたい話題をもたらしました。
10月に開かれた結婚披露宴では多くのゲストや参加者を招いて盛大なお祝いイベントが開かれたそうで、これからも岩石のように固い絆で愛を紡ぎ合い 七宗町のアピールと発展に尽くしてくれることでしょう。
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後は 二世の誕生を待つばかりですかね。

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七宗町には これらの他にも、昭和12年7月に製作 昭和46年まで活躍 行程150万kmを走破した蒸気機関車「C12163」を展示する「蒸気機関車展示館」、山と清流に育まれた自然豊かな地元の特産品を提供する「ロックガーデンひちそう・ロックタウンプラザ」
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そして 行楽シーズンには 七宗の里を見晴らし 景観とトレッキングを満喫できる「納古山 登山コース」など、神々住まう地の自然に抱かれた体験と発見が目白押しです。

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近況、新型コロナウイルス問題で閉塞感に満ちた昨今ですが、事が落ち着き安らぎと笑顔の時までもうひと息! そうなれば是非とも一度お出掛けになられることをお勧めします。
自然の中でこそ得られる安息の時を味わってみて下さい。

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お問い合わせ : 七宗町役場 ホームページ

 

 

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