おぼえていますか?お手玉が残してくれたもの

子どもたちの間で久しく見なくなった遊びのひとつに「お手玉」があります。
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昭和の中頃、男の子は「秘密基地ごっこ」「虫採り」「ビー玉遊び」
女の子は「ゴム跳び」「けんけんぱ」「お手玉」
共通の遊びとして「かくれんぼ」や「鬼ごっこ」といったところでしたでしょうか。
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社会的な状況の変化やゲーム機器の登場で 自らの体を使い工夫を凝らして進める遊びが姿を消してゆく中「お手玉」も過去のものとなってしまったように思えます。

 

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布を縫い合わせて作った袋に小豆などを入れ、出来上がった数個のお手玉を両手または片手で順繰りに飛ばし送る「お手玉遊び」 なおかつ そこに歌を織り交ぜてゆく。
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考えてみれば これは “タイミングの把握” “手先の器用さ” “動体視力” などを総合的に必要とする作業で、相応の熟練を経てはじめて美しく披露出来る(現代風に言うなら)パフォーマンスと言えますね。
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テレビゲームなどでもデバイスの進化により近年 体を動かすものや、知育ゲーム的なものも色々出ていますが、”ゲーム側” から与えられるものでなく、”遊び手自身” が考え工夫し行動するプレイスタイルは人の脳と体により良い影響をもたらすものと考えられます。
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スマホで動作するゲームやSNSなど様々なサービスが世に広がってゆく中で、若年層に過日の遊びが復興する可能性は あまり高くないかもしれませんが、少なくとも中高年齢層を中心に “脳の活性化” や “健康” を見据えて「お手玉」をふたたび手に取る方も少なくありません。

 

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もうひとつ「お手玉」をはじめ昔の遊びに言えることは(当然と言えば当然ですが・・)機械相手ではなく、人と人とのコミュニケーションの中で育まれてゆくものであり、そこに生まれ残るものが “その場の結果” だけではなく、その後の人生や人格形成に少なからぬ影響を与えることではないでしょうか。
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親から子へ、祖父母から孫へ、そして友達同士の中で伝えられ、遊びを核に広がってゆく人のつながり、社会性の発達は、人が成長してゆく中で 無視出来ない大きな意味をもつものと考えます。
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「たかが お遊びで・・」と言われるなかれ、人の人生で最も重要な位置を占める幼少期であればこそ、そこに与えられるべきはモノやサービスではなく、人間関係を基軸にした養育であるべきでしょう。

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そんな 人と人とのつながり、文化、そして健康 を標榜して現代に「お手玉」の輪を復活させているのが『 日本のお手玉の会 』
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平成4年 に創設され「お手玉」を先人から受け継ぐ明確なひとつの文化として位置づけ、各種の大会やお祭りイベントをとおして復興と普及のために活動を続け、今や全国40箇所に支部をもつ広がりを見せています。
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会の理念として = お手玉を作るところからはじめ、世代を超えた交流、友情を大切にしながら、ほほえみをもって、楽しく、礼儀を忘れず、「手から心へ、温もりを伝えあいながら自由に遊ぶ」= (サイトより)を掲げながら、競技としては規定・細則を決め各地で定期的に開催され、今日も新たな記録を生み出しています。
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各地、支部「お手玉の会」では参加者の交流を軸に お手玉の作り方、基本からより高度な技の修得まで様々な内容で「お手玉」ファンを増やしつつあるようです。
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会員の多くは やはり “昔とった杵柄” とでもいうか 中高年のご婦人が多いようですが、近年では男女問わず若い世代の人の参加も増えているそうで、小学生から社会人壮年まで「お手玉」の輪 は確実に広がっているようですね。

 

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「お手玉」の歴史は思いのほか古く、世界的に見ればその起源は紀元前にまで遡るのだそうです。 日本に伝わったのは奈良時代に大陸からといわれており、当時は “石名取玉(いしなとりだま)” の名で呼ばれ、小石や貴石を磨いて作られた その名のとおり「玉」であったようです。
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「玉」と呼べるような特別あつらえのものは上流階級のものだったかもしれませんが、簡易な小石でも遊べるところから、やがて庶民にも広まってゆき「玉」の名の名残りが
千年の時を超えて現代に伝わっているのかもしれませんね。

歌川広重 / 風流おさなあそび

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現在、よく知られるような布袋の形になったのは江戸時代末から明治時代にかけてだそうで、子どもの遊びとして定着していったそうです。
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その後見舞われた戦争の時代になると戦況悪化にともなって行われた学童疎開で、親が子に「お手玉」を持たせ「食べる物に窮したときは糸を解いて中の小豆を食べるように」と想いを託したという逸話が残っています。 当時の世相を思うと悲しくも暖かいエピソードではありませんか。

 

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上でも述べましたように「お手玉」には脳の活性化や健康への寄与も期待され、現在ではそれを研究する学者さんもおられるようです。
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中高年齢層には懐かしい「お手玉」 若い世代には新しい体験の「お手玉」
機械化、自動化が行き届いた今だからこそ、健康のため そして人のふれあいの再認識のため、もう一度振り返ってみるのも良いかもしれませんね。

 

 

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