忘れた頃に来るから忘れられない – 宮城県


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今般 令和3年2月13日23時8分に発生した大型地震による被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げます。 今後も余震等考えられますのでどうか安全最優先でお過ごしいただき、一日も早い復興が叶いますようお祈り申し上げます。 2021.02.14 追記 イナバナ.コム
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先月、「阪神淡路大震災」から26年の月日が経ったとニュースで扱われました。平成7年1月17日午前5時46分、兵庫県南部を震央に発生した巨大直下型地震は当該地域に未曾有の被害をもたらし、人的被害だけでも6400人を超える死者、44000人の負傷者を出す大災害となりました。

そして来月、3月11日には平成23年に起こった「東日本大震災」から10年を迎えようとしています。

まだ厳しい寒さ残る昼下り 14時46分に発生した日本観測史上最大マグニチュード9.0の海溝型地震は、その破壊的な揺れとともに最大遡上高40メートルの巨大津波を呼び込み 東北地方を中心に壊滅的な被害、20000人規模の死者・行方不明者を数える慟哭の日となったのです。

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これら以外、平成の大規模地震だけでも 鳥取、岩手・宮城、熊本と、この国を襲い人々の暮らしを根こそぎ奪った天災は数知れず、それだけ日本という国が大きな自然災害と常に隣り合わせでいることを物語っていますね。

僅か数時間、数日間の間に何千人・何万人の生命が儚く失われてしまうなど、現実からかけ離れた、まるで戦禍のような惨状と苦悩な訳ですが、これは紛うことなき事実であり、そして いつ再来してもおかしくない自然の荒ぶる姿なのです。

しかし、そのような国土に永く住み過ぎたせいなのか、それとも単に人の持つ順応性の成せる業なのか・・ 穏やかな日々がしばらく続くと 人はその慟哭の声を忘れてしまいます。

身をもって破滅と惨状を経験した者は、生涯を通じて その痛みと恐れを深く胸に刻むことも少なくありませんが、被災地から距離をおきテレビ画面を通してのみ これを知る者は、如何にその時心震わせたとしても所詮 当事者の比ではなく、言わんや 時が流れ当事を知らぬ世代が人伝に聞く話しでは、どうしても一訓話としての域に収まってしまいがちです。

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だからこそ 非業の歴史と記憶は途切れることなく伝え続けなければならないですし、また同時に これまでの経験を教訓に、いつ起こるかも知れぬ惨禍を少しでも和らげるために “備え” なければならないのでしょう。

上述の大難がここ30年程の間に続いたこともあり、また ここ数年、異常気象の現れか台風や豪雨による大きな被害が頻発していることから、近年ではいわゆる防災グッズの類いも充実してきましたし、情報化社会の進歩によって様々なアドバイスやチップスも行き渡ってきました。

数多に溢れる品物や情報を蓄えることは 確かに被災時の助けになるかもしれませんが、ここはひとつ、一旦 気を休ませて後ろを振り返ってみてはどうでしょう・・。

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〜 ヤマセなどの天災による飢饉をはじめ、仙台地方では地震や洪水、火災などの災害にたびたび悩まされてきました。展示では、会期中に東日本大震災から10年を迎えるにあたり、東北地方を全般に見通しながら、旧仙台藩領を中心にして江戸時代から現代にいたる様々な災害に対する備えや対策、信仰などについてご紹介します。 〜(ホームページ案内分より)

宮城県仙台市の「仙台市歴史民俗資料館」で 特別展『仙台の災害~天災は忘れたころに~』が開催されています。

ヤマセ とは山背=偏東風、主に東北地方で初夏の頃吹き下ろす冷たく湿った季節風のことで、水稲をはじめとした農作物の栽培に広範囲の冷害を及ぼし、古くは大規模な飢饉につながりました。 農業技術や補償制度が発展した現代でも大きな冷害は農家経営を著しく圧迫しますが、往時の凶作は国家的な死活問題でもあったのです。

そして今次「東日本大震災」に見るように、繰り返される大地震とそれに伴う津波の被害、また異常な天候による洪水など、南北に連なる山々と果てしない大洋の間である東北地方、そして宮城仙台がくぐり抜けてきた被災の歴史は 殊更に厳しいものでした。

このような歴史の苦難に対して人々は 当然 記録を残すとともに様々な事前の対策を講じてきた訳ですが、今回、それら過日の人々の工夫や切実の思いを一堂に並べ会する企画展の運びとなったのです。

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科学的な見地や解釈のない時代のものですから現代的な視点では拙いものも少くありませんが、そこにあるのは如何にして有事の被害を抑えるか、どうすれば少しでも平穏な暮らしを維持出来るかという、時代に関係なく人が思い願う基本的な願いと熱意ではないでしょうか。

「天災は忘れた頃にやってくる」と残した物理学者 寺田寅彦氏 に掛かる記事「ジャンと響けば何かが起きる 浦戸の海の怪異 – 高知県」をポストしたのは昨年の8月でした。
再掲載になりますが、ウィットに富む寺田氏が残した言葉は言い得て”核心”なのかも知れません。

~ こういう災害を防ぐには、人間の寿命を十倍か百倍に延ばすか、ただしは地震津浪の週期を十分の一か百分の一に縮めるかすればよい。そうすれば災害はもはや災害でなく五風十雨の亜類となってしまうであろう。 しかしそれが出来ない相談であるとすれば、残る唯一の方法は人間がもう少し過去の記録を忘れないように努力するより外はないであろう ~

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科学は目覚ましい発展を遂げ人々に多くの恩恵をもたらしていますが、反面、大自然の動きはおろか、明日の社会の動向予測さえ成し得ないのが現状です。

人は意識の動物、安寧の明日を望むのであれば、その意識の土台に本質的なものを見極める目と、自然には “和” と ”荒” の両面が共存するという認識を据えなければならないのかもしれませんね。

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特別展 「仙台の災害~天災は忘れたころに~」 仙台市歴史民俗資料館 当該ページ
日  程 : 2020年11月14日(土)~2021年4月11日(日)
場  所 : 〒983-0842 仙台市宮城野区五輪一丁目3-7(榴岡公園内)
利用案内 : こちらから

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