レトロな玩具に敦賀の栄躍を見る – 福井県

“ブリキ” という言葉・・、どうでしょう、もしかするともう死語になりつつあるのかもしれませんね。同じように “トタン” も使われるシーンがかなり減っているように思えます。

どちらも薄い金属板で 昭和の時代には多用された素材でしたが、アルミを主体とした合金や新開発の樹脂製品が世の主流になるに従い、次第にその需要も限られたものとなっていきました。 因みに “ブリキ” は “鉄板に錫(スズ)をメッキしたもの”、”トタン” は “鉄板に亜鉛をメッキしたもの”。どちらも鉄の腐食防止を目的として19世紀頃に開発されたものです。

現在でもトタン板(いわゆる波トタン)は一部の屋根や壁面材として使わますが、見掛ける機会も少なくなってきました。 防錆処理がしてるとはいえ当時の技術で完全に防げるものでもなく、赤サビにまみれたトタン家屋の姿に懐かしさを覚えるのも昭和生まれ故でしょうか・・。

 

一方、ブリキといえば・・、現在 パッと考えて思いつくのは昔ながらの “ブリキ看板” やバケツ、チリトリくらいですかね(それももう一般的ではありませんが)。 ブリキバケツというと掃除に使った記憶もたくさんありますが、子供の頃 手にぶら下げ廊下に立たされた想い出が残っていますw。何故そうなったか憶えていませんが・・アホなことでもやらかしたんでしょう (^_^;)。

後、今でも多く使われている用途としては “缶詰めやお菓子の缶” があるでしょうか。こちらもアルミやスチールの合金製が増えましたが、ブリキ缶も一定のシェアを維持しています。 コストの安さと汎用性の良さから安価なデザイン雑貨やアクセサリー、文具などにもブリキを用いたものが見られますね。

さて、昭和世代、それも30年代生まれの私からして “ブリキ” と聞き思い起こすのは やはり “玩具・ブリキのオモチャ” です。色とりどりの塗装に彩られたクルマやヒコーキ、ロボットなど、当時のオモチャにはブリキ材が多用されていました。

溶解液状化された材料を金型に流し込んで成形する樹脂(プラスチック)と異なり、薄板をプレスして作られるブリキ加工は精緻な形状再現にはあまり向いていません。また周囲部のカッティングや折り曲げ加工など手間も掛かるため、後に成形素材の主役から降りることとなりましたが、その頃のオモチャに親しんだ者にとっては趣深い想い出につながる素材でもあるのです。

折り曲げ・・と書きましたが・・、薄い金属板であるために切り口が鋭利で そのままでは触る者の手を切ってしまいます。 そのため 海外の製品では、彩色の塗料にゴム質の成分を混ぜて厚く塗装して これを防いでいるのに対し、日本の製品は周辺部を細かく折り曲げることで対処していました。

合理的・効率的な思想取り組みと、ときに職人の手を必要とする丁寧な対処。こんなところにも “お国柄” が伺え興味深いですね。

昭和20年代、日米講和条約が発効されるまで日本はまだ “被占領国” でありました。 戦後復興期にようやく輸出が始められたブリキ玩具には[occupied japan made(占領下日本国産)]の表示が入れられていたといいます。

生活にも物資にも行き届かない中、数少ない輸出品であったブリキ玩具は、当時の日本における貴重な外貨獲得物資でもあり戦後日本の再興にも大きな役割を果たしたのです・・。

私が子供であった30年代末から40年代にかけて、既に日本は “もはや戦後ではない” 時代を越え 高度成長に沸く時代であり、樹脂製品も増加の一途の中ではありましたが、そんな中での “ブリキのオモチャ” は最後の輝きを放っていたのでしょう・・。

今では殆ど見ることのなくなった “ブリキのオモチャ”、古いヴィンテージもの、希少なものには相当の高値が付くのも よく知られたところです。貴方のご実家などにも もしかしたら “お宝” が眠っているかもしれませんよw?

 

福井県敦賀市、『敦賀赤レンガ』は 敦賀港・金ヶ崎を見晴らす閑静な町に建っています。 古風な佇まいは補修され現代的な整備を施されていますが、その創始は明治時代 米国スタンダード石油の貯蔵庫として建てられたもの、およそ120年からの歴史。

日本海に面した敦賀港は、古くから大陸と京阪神・中京地域をつなぐ交易地として機能してきました。 港湾と鉄道業務を軸に発展を遂げてきた町の歴史を受けて整備された『津軽赤レンガ』は、”鉄道と港のジオラマ館” のフレーズで敦賀の魅力を伝えています。

2棟建ち並ぶうちの北棟をマニアックな「ジオラマ館」、南棟をオシャレな「レストラン館」として機能する『津軽赤レンガ』ですが、新春からのイベントとして北陸新幹線敦賀開業記念『昭和レトロなおもちゃ展』が開催されるそうです。

先にご案内した昭和前期の “ブリキのオモチャ”、それも乗り物を中心として展開。海運そして陸運に栄えた敦賀に因んだチョイスともいえるでしょうか。

さらに後年製造された復刻版玩具も加えて約100点を常設展示。来場者を迎える大きな “鉄人28号” もまみえて、年配の人には懐かしさを、若い世代には新鮮なインプレッションをもたらしてくれるでしょう。

画像©「敦賀赤レンガ」パンフレットより

列車、自動車、飛行機、そしてSF関連のブリキ玩具作品。今は昔の製品ながら、そこに込められた制作者の熱意と工夫、そしてモデルとなった乗り物たちと当時の社会背景など、思いを馳せながら見回れば より濃密な時間を過ごせるのではないかと思います。

会場『敦賀赤レンガ』の付近には、大正時代の駅舎を復元、同じく敦賀の古き鉄道史を伝える「敦賀鉄道資料館」、日本三大松原のひとつにも数えられる「気比の松原」、敦賀地方独自の神 “伊奢沙別命(いざさわけのみこと)” を祀る「氣比神宮」や「敦賀城跡」など、見どころも盛りだくさん。 春の到来とともにお出掛けを考えてみられては如何でしょうか。

『敦賀赤レンガ』 公式サイト

Amazon:「ブリキのおもちゃ TIN TOYS」(多田コレクション) (紫紅社文庫) 

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