語り継がれる巌流島の光陰 今再び – 山口県

 

中央に見えるのが巌流島

巌流島、言わずもがな剣豪 宮本武蔵 と巌流 佐々木小次郎 の決闘で知れた小島ですが、その島がどこに在るのか?というと、意外に知られていないこともままあるようです。

在地は山口県下関市と北九州市の門司の間を流れる関門海峡、下関沿岸から400メートル程離れに浮かぶ小さな無人島です。 巌流島という名は いわゆる通称であり、正式の名は「船島」と言います。

日本中はおろか世界にも伝え広がった吉川英治の著作「宮本武蔵」や武蔵自らの兵法書「五輪書」などにより あまりにも知られた武人の人生、そして そのクライマックスである巌流島決闘を、昔懐かしい紙芝居でお送りするイベントが  下関市 “みもすそ川公園” での開催予定だそうです。

 

私が子供の頃、昭和も40年代にはまだ学校区の路地々々で紙芝居のおじさんが、その興行を続けていました。

「宮本武蔵」を見たことはありませんでしたが、「黄金バット」でしたか「伊賀の影丸」だったか忍者もののようなものを見ていた気がします。
観覧券とでも言うべき あの砂糖をまぶした飴が美味しいんですよね・・w。

時代はテレビ放送の普及へと急速に移り変わってゆく頃で、数年のうちに紙芝居のおじさんは街角からその姿を消してしまい、私たちの興味もテレビアニメの方へと移っていきました。

言ってみれば紙芝居をリアルに見ていた最後尾の世代とも言えますが、面白いことに あの頃、紙芝居に見入っていた熱中興奮と、現代のCG技術を駆使した映像を見ている満足感とは、さして差が無いようにも思えるのです。

 

数十、数百億をかけた最新の映像と、お手製の紙芝居を同じ土俵で比べること自体 叱られてしまいそうですが、(熱中しやすい幼少期であったこと)を差し引いても、おじさんが繰り出す語り口と、静止画ゆえの想像性からもたらされる熱気は十二分のエンターテインメントでした。

物語を文字以外の視覚情報で得るとき、アニメーションを起点とした幾多の最新技術は(将来的には3D映像の確立も含めて)確かに大きなファクターですが、物語そのものの面白さや その満足感は、また別なところにあるのだなと思う次第です。

時代の流れの中に消え去っていった紙芝居ですが、民間芸能のひとつであると同時に、継承すべき文化の一端でもあるとして、近年 その資料の蒐集保存や実演の復興に取り組んでおられる団体や個人も少なくなく、今回の「巌流島決闘」紙芝居も そうした取り組みのひとつと言えるでしょうか。

素朴で懐かしい、それでいて熱気溢れる紙芝居『武蔵・小次郎 巌流島の決闘』、機会がありましたら ぜひご覧に行かれてみてはと思います。

 

紙芝居が行われる「みもすそ川公園」からも近い(車で20分程)海峡の小島「巌流島」、上述のとおり正式には「船島」と呼ばれ、武蔵・小次郎の決闘が世に知られてからは人々の記憶に深く刻まれることとなりました。

歴史というものは数奇なもので、現在語り継がれていることが全て真実とは限りません。
と言うよりも、多くの伝記・伝承は主に江戸時代から明治にかけて作られ好評を博した軍鑑ものや演劇、講談や小説などに大きな影響を与えられていることがほとんどです。

宮本武蔵の生涯にも不確定な要素が少なくなく、小次郎に至ってはその出自や人物像にさえ明確な資料が不足しており、一般には 百戦錬磨の剛の者の武蔵に対して、痩身美男で理知的、やや気の細い佐々木小次郎のイメージですが、実際には(一説には)武蔵よりかなり歳上で、当時としては老齢に達する人ではなかったかとも言われています。

 

諸国を武者修行の旅に費やし “燕返し” なる技を編み出し、豊前国(北九州)小倉藩の剣術指南役と抱えられた小次郎。 後に同指南役である宮本武蔵と運命的な出会いとなり、そして巌流島の決闘へと歴史の糸は紡がれるのですが、その決闘へと至る経緯も今ひとつ判然としません。 単に日の本一の武芸者の座を決するというだけのものではなかったようです。

ひとつ確実に残されていることが、もともと船島と呼ばれていたこの小島が決闘以降、武蔵にまつわる名ではなく、小次郎の流派 “巌流 / 岩流” の名を冠して呼ばれるようになったこと・・。 決闘に敗れ散った小次郎の遺徳を偲んでと伝わりますが、これも歴史の事実を語るにはあまりに小さな名残りとでも言えましょうか。

同県 岩国市 錦帯橋付近にもある佐々木小次郎像

数百年の時を越えて今に伝承を伝える「船島 / 巌流島」ですが、その地理的要因から戦時中(昭和時代)には海上監視と要塞の機能を担い、一般人の立ち寄れぬ場所となっていたようです。

戦後、民間企業に払い下げられ、その後 さらに島の北東部 約50%近くが下関市に譲渡されたため、市は歴史に彩られたこの島を整備、釣りデッキを含む閑静な観光公園として一般に開放しています。 島に渡る定期渡航船も一日10便に上るそうです。

真実が如何にあれ、生涯を剣に捧げた二人の剣豪が ここで刃を交えたことは歴史の事実・・、いつも言うことですが、歴史とは不確定要素があるからこそロマンに満ちて楽しいもの。

「みもすそ川公園」で活劇感たっぷりの “決闘紙芝居” を楽しんだ後、ここ、聖地 巌流島で皆様それぞれの “宮本武蔵と佐々木小次郎” を夢想してみるのも一興ではないでしょうか。

 

過去の下関 関連記事

 

歴史体感 紙芝居「武蔵・小次郎 巌流島の決闘」  Walkerplus

日  程 : 2021年9月1日(水)~10月31日(日)
10時~15時の間でお客さんが集まり次第 各回10分程度 ※荒天時は中止

開催時間 : 10:00~15:00

場  所 :山口県 みもすそ川公園

 

参考サイト : 「しものせき物語」 楽しも(下関市観光政策課)

「episode.2 歴史に残る決闘の島 巌流島」

 

 

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