島根県と聞いて 先ず思い浮かぶのはやはり「出雲大社」「出雲の国」でしょうか。
日本における歴史と そこから伝えられる様々な逸話は数知れず、合理的な現代を生きる私達の心にロマンを掻き立ててやみませんが、平安朝を遡り奈良時代、さらに古の古墳時代にまで達すると 最早 ”有史時代” の影は薄れ ”先史時代” の領域に近づきます。
”有史ではない” つまり学術的価値に耐える資料に限りがあり、大陸側の文献解析や発掘調査から得られた出土品などによって もたらされた成果を基に推測するしかない 時の彼方の物語・・
その中で、現在の島根県出雲地方に かつて栄え、一大王国圏を築いていたであろう「出雲の国」についても 壮大な規模の話であるだけに、歴史・考古学の世界において様々な論議が交わされていることは致し方のないことなのかもしれません。
しかし、荒神谷遺跡(こうじんだにいせき)や 加茂岩倉遺跡(かもいわくらいせき)から大量に発掘された剣や鉾をはじめとした出土品、田和山遺跡(たわやまいせき)の特徴的な環濠跡、そして往古より伝わる出雲独自の特徴を成す数々の伝承など、この地に、否、出雲を中心とした山陰の地に、極めて大規模かつ躍動的な文化圏が存在していたと考えるのは至って自然な流れではないでしょうか・・。
二千年彼方、出雲の姿の真実が明かされる日が来るのかは解りませんが、悠久の時を越えて今も この地に往時の影を偲ばせる史跡・景勝、そして神話の数々に、私達は学説や数値にとらわれない夢とロマンを感じ続けるのです。
実際のところ島根を含む山陰地方において、アミューズメントパークと呼ぶような若者向けの施設は そう多くはありません。 それは反面 この地域が深い歴史にいまだ抱かれ愛され続ける、言わば “大人のための旅路” であることを意味します。
この国で「神宮(じんくう)」に双璧を成す「大社」は言うに及ばず、出雲の創始 須佐之男命を祀る「須佐神社」、日沈の宮とも称される日の本の夜の守り「日御碕神社」、神人化身による上人導きの説話残る「韓竈神社」などの名だたる古社。
国引きの神話に連なる神話の里「稲佐の浜・弁天島」、平田木綿の流通を担い今に往時の風情残す「木綿街道」、奇岩・柱石が林立し山陰の耶馬渓ともいわれる「立久恵峡(たちくえきょう)」などの景勝・秘境。
そして、旅に華を添える名湯や美味処の数々・・
これを見ればいかに出雲の地が、年を積み見聞を広め、時の理(ことわり)にこそ興味を持つ大人にとって、魅力多き国であることが解るのではないでしょうか・・。
とは申せ、この数多ある出雲の名跡を限られた時間の中で皆々訪ね、それを味わい尽くすには、結構な事前準備とツアースキルを必要とするのもまた事実。
移動の問題だけではなく、効率的なスケジュールの設定、目的地近辺の立ち寄りポイント、神社を巡るのであれば付きものの社務所の場所や神職の駐在、旅の想い出に耐える食事処や温泉、そして宿など・・
前もって色々調べてあれこれ考え、予約などの手筈を整えるのも 旅の楽しみの内ではあるのですが、ここはひとつ、エキスパートに任せてみるのも良いかもしれません。
エキスパートと言っても、普通 旅行代理店開催のバスツアーに申し込む形のようなものではなく、もっと地元に根ざした・・というより、”出雲” そのものが企画運用した “出雲訪問者” のためのツアーアレンジメントが、この12日から始まっています。
『 出雲周遊観光タクシー うさぎ号 』
出雲観光協会が主催するこのツアーは、その名のとおりタクシーを利用します。
「うさぎ号」の名の由来は語るに及ばないでしょう、出雲を代表する神話キャラクターですね。
旅行者のために用意された貸し切りのタクシー(セダンタイプからワゴンタイプまで)に、神社・歴史伝承・地元情報に精通した観光ガイドが同行して各名勝を周ります。
言い換えれば、個人のために催行される特別のミニバスツアーといった趣きですね。
(最少催行人数:2名ー最大7名まで)
魅力的な催行プログラムが多数用意されています。
「海の出雲 御朱印の旅」
. 出雲大社をはじめとする古社を巡り御朱印を頂けるコース
「郷の出雲 良縁来たる」
. 宇美神社をスタートに悪縁絶ち、良縁結びを叶えるコース
「美の出雲 心も体もリフレッシュ!」
. 美の神 “八上姫” に頼み薬膳メニューなどでアンチエイジング
「海の出雲 神々由縁の地を巡る」
. “神在月” “神迎神事” など出雲の神話に深く親しむ巡り会わせ
「森の出雲 御朱印の旅」
. 南部地域を中心としたパワースポット巡りを堪能するコース
「湯の出雲 秘湯と峡谷の旅」
. 秘湯と秘境、出雲の自然に身も心も洗われるくつろぎ体験
内容詳細は コチラ から
詳細に関しては出雲観光協会ホームページを参照して頂きたいと思いますが、各々のテーマ別にしつらえられたコース設定は、出雲を訪れる人々の想いや嗜好をよく汲んで組まれており、またガイドを添えることで より深く出雲を堪能出来るようになっています。
気にかかる料金に関しても、ほぼ半日を費やして 一人 10000円から19000円 程度と、10数キロ利用で数千円掛かる現在のタクシー料金を考えれば、かなり割安な設定、しかもここにガイドの料金、昼食などの料金も含まれているのです。
不慣れな地での移動に気を使わず、安全面も確保され、旅そのものに没頭出来る。
旅する上での理想形のひとつと言えるでしょうか。
今年は新型コロナウイルスの関係で、旅先での感染防止にも気を使わなければならない状況ですが、衛生管理されたタクシーでの移動はリスクの低減につながるかもしれません。
鉄道での来訪でしたら、東京~出雲間の寝台特別急行列車「サンライズ出雲」があり、また、つい先日 新特急列車「WEST EXPRESS 銀河」も運行を開始しました。
大人の旅はなるべく ゆったり楽しみたいものです・・。
もうすぐ十月、世間は神無月、出雲は神在月、全国の神様が集われるといわれる聖の地で優雅に、そして淑やかに、先史にも届く幽玄の旅を楽しまれては如何でしょうか。
『 出雲周遊観光タクシー うさぎ号 』 詳細 (一社)出雲観光協会ホームページ
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