高揚と希望の時 尾道造船進水式 – 広島県

『進水式』 テレビやインターネットの動画などで見た事はあっても、実際に体験された事のある方はやはり限られますよね? 近くに造船所なんて無いし、あれって関係者や招待客だけでするものじゃないの・・!? というような感覚が多いのではないかと思われます。 確かに造船所そのものが置かれている地域は ある程度限られますし、古くは “関係者” のみで執り行われることがほとんどでした。

しかし、近年では この進水式を “一般公開” のイベントとして開放している造船所も増えつつあるようです。 支鋼切断とともに船体に砕けるシャンパン、高層ビル程もある巨大な船がカタパルトを滑り動く迫力、これから生きてゆく海に初めて進水する喜び、何もかもが一瞬の緊張と興奮に包まれた感動のひとときなのですから、これを公開し経験することには大きな意義があるのではないでしょうか・・。

 

大まかに分けて「進水式」には 二通りの方法が用いられます。
一つは 建造を完了したドックそのものに注水し、船を浮かべる “ドック進水” 。現在の日本において大型船舶の場合、この “ドック進水” 方式をとることが多いのだそうです。
もう一つが、船台・進水台を滑らせて行う “船台進水”、イメージとしては こちらの方が一般的に知られていますね・・。

この「船台進水式」を一般客に公開するイベントが広島県尾道で開かれます。

広島県、瀬戸内海に面する湾岸部は波も穏やかで、古来より天然の良港とされる地域が多く、明治時代から国力増進政策の一環として整備された呉港をはじめ、今回ご案内する尾道港も国の重要港湾に指定されています。 尾道港の由緒は古く、何と聖徳太子が活躍した飛鳥時代には既に港として機能していたそうで、以来 その意義を失う事なく現代に至るまで歴史をつないできました。

 

その尾道港の一角、尾道市山波町に造船所を擁する「尾道造船株式会社」のドックで「進水式見学会」が開催されます。一般客の参加見学もOKな開かれた進水式です。

大型船舶というものは、近くで見るとその大きさに圧倒されるものですが、今回 進水式で披露される船は全長179m 船幅32m の中型貨物船、中型と言っても地上の建造物なら約40階建のビルの高さに匹敵します。 超高層ビルでもある「新宿アイランドタワー」や「大阪梅田ツインタワーズ」辺りが相当しますから、それが横向きに海に滑り込み 浮かんでいると思えばその威容さが解かろうと言うもの。

圧巻の風景に見惚れる「進水式」ですが、その壮観を裏付けるかのごとく、その歴史は船そのものの歴史に常に寄り添う形で紡がれ、北欧はヴァイキング時代にもその記録が残っています。 後の時代にも国により多少の差異こそあれ、船の丈夫と航海の安全を祈る心は変わることなく現代に引き継がれているのです。

因みに、進水式を象徴するともいえる “シャンパン割り” ですが、古代のヴァイキングにあっては、進水式に際して人間の生贄を用いていたとも言われ、それが後に廃止されるも その名残として “赤ワイン”(血の意)が用いられ、やがて 白ワイン→シャンパンへと移り変わっていったという説があります。 一聴 恐ろしい話にも聞こえますが、それだけ古の造船・航海とは命懸けであり、そこに捧げる人々の祈りが深く重いものであったことが伺われますね・・。

現在、ヨーロッパではワインやシャンパンで、日本では神職立会のもと日本酒を使っての式も多いそうです。又、船の名前「船名」が与えられる「命名式」もこの「進水式」に合わせて執り行われます。 華麗な式典であると同時に非常に厳かな祭典でもあるのです。

 

式次第は下記のリンク先にて確認出来ますが、開式の辞に続いて国歌斉唱、命名式など厳粛に執り行われてゆきます。一般から参加される方も粛々たる気持ちで立ち会われるのが良いでしょう。又、ドック付近は工場施設が建ち並ぶ場所でもあり「立ち入り禁止区域」も設けられていますのでご注意下さい。

普段、目にすることのない威容と感動、特に子供の頃に経験すると一生の思い出になるかもしれませんね、またとない機会をぜひ!

海外の進水式、河川沿い造船では川幅の都合から横滑り入れ式が多い。

 

『尾道造船株式会社 進水式見学会』 「進水式見学情報」ページ

日 時:2023年8月16日(水) 建造番船 : 第789番船
開式時間未定(7月5日現在 詳細は下記よりお問い合わせください)

場 所:〒722-8602 広島県尾道市山波町1005番地
アクセス:同ページ内に公共交通機関による案内あり

お問い合わせ:尾道造船株式会社 総務部総務課
TEL: 0848-20-2953  FAX: 0848-20-2969
E-MAIL : general@onozo.co.jp

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