三千の陶ふうりんに涼と古窯の妙を味わう – 福井県

『六古窯(ろっこよう)』(または日本六古窯)というものがあります。

Wikipediaの文を拝借して説明するならば・・、

“日本古来の陶磁器窯のうち、中世から現在まで生産が続く代表的な6つの窯の総称。であり、近世以降の窯とは区別される。 圧倒的なシェアを占める美濃焼*以外にも伝統的な焼物があることを紹介する目的で「六古窯」を選別したため「美濃焼」は含まれない。”
(* 美濃焼の生産量は全国量の約50%だそうです)

画像 © (一社)越前町観光連盟 / えちぜん観光ナビ

“「瀬戸焼:愛知県瀬戸市」「常滑焼:愛知県常滑市」「越前焼:福井県丹生郡越前町」「信楽焼:滋賀県甲賀市」「丹波立杭焼:兵庫県丹波篠山市今田町立杭」「備前焼:岡山県備前市伊部」” が 六古窯とされています。

「窯(よう / かま)」の名からも分かるように、生産された “焼き物” そのものよりも “窯元” “窯業地” に重きをおいて『六古窯』が名乗られています。

テレビ番組などでよく耳にする「九谷焼」や「有田焼 / 伊万里焼」などが含まれていないのは、いずれも江戸時代あたりから始められたもので、六古窯はそれらより古い窯業文化となるのですね。またひとつ勉強になりました・・。(^_^;)

 

陶磁器、焼き物・・、良いですね。 あらたまって考えると高尚な文化・趣味のようにも思えますが、私たちから手の届かない遠いところにあるのではなく、それらの一端が日々の暮らしの道具として、人に寄り添っているのが陶磁器の素敵なところだと思います。

まぁ それでも、一点・何万・何十万、果ては何千万というような お皿や壺は、いくら素敵でも怖くて触ることさえ出来ませんが・・(^_^;;)

私のような門外漢では、某鑑定番組のように その真贋はおろか、値打ちや良し悪しも判りません。目利きのない者が迂闊に高額品に手を出すべきではないのでしょう・・。

とはいえ、高級品ばかりが その人にとって価値ある物とも限らないのが焼き物の妙・・。出先でたまたま見つけた気に入った柄の陶磁器など(もちろん極低価格)、買って帰って普段の食事や一服で使えるのが楽しく、また それが楽しみ方のひとつなのではないかと思っていますw。

 

土を練って形成し焼いて作る・・。極めて素朴で原意的な製作工程ゆえに、そこから生み出されるのは単に食器や壺ばかりではなく、様々な造形が可能であり、以前 ご紹介した「瓦・タイル」や、生活に欠かせない電気を伝える電力用碍子なども焼き物のひとつです。

本日、ご案内するのは、そんな焼物の自由度、美しさ、そして そこから発せられる “音” をいかした陶芸品「陶ふうりん」(陶風鈴)のイベントです。

 

場所は、福井県丹生郡越前町の「福井県陶芸館・越前古窯博物館」

日本六古窯のひとつ “越前焼” の歴史と文化を伝える このミュージアムで、『越前焼「陶ふうりん」三千の音色♪』が開催されています。

「陶ふうりん」・・、風鈴といえば ガラス製のものが多く見受けられるような気もしますが、そういえば昭和の頃から “陶製” のものも少なからずありましたね。 ガラス製に比べて、多少厚みがあるため、当時はそこから発せられる音はやや低めに思いましたが、その分 絶妙に味わい深い響きを持っていたように思います。

館の案内文から引用させていただきますと・・、

“鉄分を多く含む越前焼は、金属のような澄んだ音色を奏でます。ひとつひとつ手作りの為、音色も全て違います。 是非聴き比べて、好きな音色を探してみてください。”

だそうで、ガラス製とも金属製とも異なる越前焼陶器ならではの音色、是非一聴してみたいと思い、公式YouTube のクリップをご案内します。 音楽の影に隠れがちですが、澄んだ美しい音が聞き取れますね・・。

 

越前の地で窯業が始められたのが、今から850年程前といいますから平安時代も末期、まさに頂点に達した平氏と、東国で再興を果たす源氏との、騒乱極まりゆく動乱の時代に産声を上げています。

始まった頃は当然、今のように芸術品扱いではありませんから、水瓶やすり鉢など生活に供する製品として作られていました。

しかし、越前・丹生地域の土の性質、先に書かれているように鉄分を多く含んでおり、堅牢性、そして耐火性が高く 水漏れし難いという特徴を持っており、それを生かした陶器作りに磨きがかかったことから、北陸・東北はもとより北海道から中国地方にまで広まる 越前の一大産業となったそうです。

他地域の陶器の拡大や、明治期以降の水道の発達などによって、一時、衰退の危機に瀕しますが、その間にも研鑽は重ねられ、昭和23年「六古窯」提唱のひとつに数えられます。 以後は “越前焼” の名のもとに、日本を代表する名窯の一地として国内から海外に知られる名品を送り出しているのだそうです。

画像 © 越前焼工業協同組合

悠久の歴史を刻む越前焼の文化を、意義深く、精細に、そして楽しく伝えるべく活動を続けている「福井県陶芸館・越前古窯博物館」。

お堅い文化施設というよりも、より多くの人に その味わい深さと楽しみを知ってもらうため、単なる資料展示にとどまらず、 “陶芸教室” や “茶苑” また “陶ふうりん” のような様々なイベントを随時開催しています。 そして、普段使いのカトラリーから ここでしか手に入らない逸品までを扱う越前焼セレクトショップ「Clays」も常設されています。

また、今回ご案内した『越前焼「陶ふうりん」三千の音色』では、展示・体感イベントであるにもかかわらず、気に入った “陶ふうりん” が見つかれば、その場で購入することも可能だそうです。

今年も夏の暑さ迫る中、ひとときの涼と味わいを求めてお出掛けになるには絶好のスポットかもしれませんね・・。

 

「福井県陶芸館・越前古窯博物館」 公式サイト

〒916-0273 福井県丹生郡越前町小曽原120-61

『 西日本最大 越前焼『陶ふうりん』三千の音色♪ 』 当該ページ

2022年6月18日(土)~9月4日(日)
休館日は月曜日(ただし7/18を除く)、7/19。最終入場は16:30まで。

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