越前の風は淡くそして熱くたゆたう – 福井県

「童画家」という言葉が有るのだそうで・・。
文字どおり子供向けの絵画 ”童画” を描く人を指します。多くは幼年を対象とした絵本などの挿絵などで見られますが、一般向けの書籍やポスター、関連商品などでも装丁・意匠に採用されることも少なく有りません。

以前、当サイトでも記事にさせて頂いた「100万回生きたねこ」は、文・挿絵ともに佐野洋子さんの作品でした。  私の好きな絵本「ねこのしゃしんかん」は文章を森山京(みやこ)さん、挿絵を林静一さんが担当されています。

人生の中で最も多感で、自らを包む世界に無限の好奇心と吸収性を持つ幼年時代、人生の礎ともなるこの年代に与えられる絵本は、親の教育とはまた違った側面から その人の成長に大きな影響をもたらします。 目先に映ることだけでなく、人にとって本当に大切なことを教えてくれる上質な絵本は、子供のみに留まらず大人からも大きな支持を集めますね。

そして、よく出来た絵本・文章を情感豊かに表現し彩り、本を一個の作品として昇華足らしめているのが挿絵であり、”童画” と呼ばれるものです。

 

画家・童画家、そして絵本作家として昭和の子供たちを見守り、現代の大人たちにまでファンのおおい “いわさきちひろ” さんは、本日ご案内する福井県越前市のご出身だそうです。

県内、坂井市に次ぐ第三の人口規模を持つ越前市(元 武生市)、都市としての機能を備えながらも、往古 越前国の中核を担った誇り高い歴史の名残を そこここに残す風情溢れる土地柄です。

市の中心部、日野川からも程近い一角、昭和の造りを色濃く残す三軒並び、その真中に静かに佇むのが『ちひろの生まれた家 記念館』、前面を記念碑とガラス張りで意匠されているものの、本体と家の内部は ”いわさきちひろ” さんが住まわれていた当時そのままに再現されています。

 

絵 © いわさきちひろ

子供の頃から絵を描くことが好きで、両親の理解もあって順調に絵画の道を歩んだちひろさんでしたが、折からの戦争とその悲惨さを痛烈に体験することで、人間の内に有るより深いものへと目を向けるようになっていったそうです。

紡がれた想いはやがて「子供の幸せと平和」という根源的なテーマへと到達し、それはその後の生涯を通じて彼女が描く絵の土台となりました。

“いわさきちひろ” の作品に登場する子供たちの瞳、素朴でややもすると憂いを含んだかのようにも見え、それでいて未来をしっかり見据えているかのような眼差しは ”ちひろ” 本人の、社会と未来を見晴らす眼差しだったのかもしれませんね。

淡い水彩画で知られ、現代の大人たちにも人気の高い ”いわさきちひろ” の生家記念館、訪ねてみられたならば、彼女の基点の一端に触れることが出来るでしょうか。

 

『いわさきちひろの生まれた家』記念館 から 通りを挟んで北西にみると「総社大神宮」が坐します。 越前国において国府の置かれていた現・越前市の鎮守であり、大己貴命・孝謙天皇らを主柱とする大社ですが・・、「ちひろ記念館」とこの「総社大神宮」を挟んだ丁度真ん中あたりに「蔵の辻」と呼ばれる一角が在ります。

白壁造りの蔵が立ち並び 往古越前の栄華を今に伝える景趣で、現在は整備され街の観光スポットともなっています。

古く越前国の中核を成してきた越前市は当地政治の中心であり、能登・上越と京を結ぶ交通の要衝でもありましたが、それは同時に産業と商業の発展した土地柄でも有りました。

天下が “経済” を中心として回りだした江戸時代、福井藩をして金屋家と駒屋家という豪商が財を振るい、周辺地域から江戸中央にまでその影響を及ぼし、藩政そのものも藩外の豪商(大阪・鴻池家など)と、綿密な関係をもって経済運営を成していたことなども福井県の特色と言えるものです。

商才に優れた ”越前商人”、全国にその名を轟かせ、現代にあっても国内 社長輩出率ナンバーワン、国内外トップシェアを誇る企業の発生率でもトップクラスの県民性・市民性はこうした風土と文化に根付いたものなのでしょう。

現代、この起業の志高い風薫る「蔵の辻」で『第31回 武商デパート越前支店』が開催予定されています。 商業高校生による販売イベントです。

全国にある商業高校が一般市民対象・公開型の販売イベント “デパート” を開催することは、時折見られる実習形態ですが、「福井県立 武生商業高等学校」が実施する『武生デパート』は一般的なそれらから抜きん出た印象を与えます。

武生商業高等学校 のそれは仮想形態の実習ではなく、実際に設立された『武商デパート株式会社』であり、社長、副社長、営業部長などをはじめとした実行役員による本格的な運営で、通常行われる “仕入れから販売まで” はもとより、関わる教職員・生徒全員が従業員であり出資者であり株主でもあり、厳粛な定款、持ち株配分まで存在するという徹底ぶり。

株主総会があり利益配当まであるとういう超実践型のカリキュラムは、生徒の実戦力を養うと同時に地域で人気の一大イベントともなっており、このフレキシブルさはさすが ”越前商人” 発祥の地の面目躍如たるところでしょうか。

毎年、数千人の来場者を数える『武商デパート』、今年は制限下の中の開催となるようですが、機会があれば立ち寄ってみてください。 現代も絶えることなき越前の風土に照らされた若い商才とそのエネルギーに立ち会えるかもしれません。

 

『ちひろの生まれた家 記念館』

場  所 : 〒915-0068 福井県越前市天王町 4-14

休 館 日 : 毎週火曜日(祝日の場合は翌日)年末年始

入 場 料 : 300円(高校生以下は無料)

問い合わせ : TEL. 0778-66-7112 「ちひろの生まれた家」

 

『第31回 武商デパート越前支店』

場  所 : 〒915-0074 福井県越前市蓬莱町 3 蔵の辻

日  程 : 2021/10/30(土)

参考サイト : ふ~ぽ 「第31回 武商デパート越前支店」

* 福井県立武生商業高等学校 は 2020年度から 福井県立武生工業高等学校 と統合して福井県立武生商工高等学校が新設されています。

 

 

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