来る年の安寧を願って 星宮の行灯鳥居 – 栃木県

© 下野星宮神社 様

「早いもので・・」などと言う言葉も間に合わないほど月日の流れは川のごとく・・
別に詩的な表現というわけでもなく、いやもう、人生も後半期になると一年などあっという間に過ぎ去ってしまいますね。

つい この間、新年祝って然程経たぬ間に新型のウイルスだのマスクが売り切れだの騒いでいたかと思えば、やれやれ少しは落ち着いたか・・と思ったらまた感染者数増えて減って、また大量に増えてと・・ 特に今年は日本中がそして世界中がコロナウイルスに振り回されている内に一年が終わろうとしています。

国内感染者数が20万7千人 死亡者数3千100人(2020年12月25日現在) 多くの方が被害を被られ尊い命が失われました。 さらに 直接の死亡者だけでなく景気の悪化に関連して自ら命を断った人々の事を思うと、こんなやるせない年末を迎えることに残念な気持ちでいっぱいです。

気忙しくても特段 気に病む事の無い年末、目新しい事が無くても憂う事の無い平凡な日常が 如何に有り難いものか再認識させられます。
願わくば 一日も早く有効なワクチンが届いて、平穏な日々が戻って欲しいものですね。

 

宇都宮市の南、栃木県 下野市(しもつけし) 田園の中にぽつねんと繁る神の森、そこに鎮まる社の風情は、私がまだ幼い頃、親に浴衣を着せられ団扇を片手に走って行った夏の夜祭、屋台の光が眩しかったあの田舎の神社を思い出させてくれます。

「下野星宮神社」 世に名だたる大社のような威容は持ちませんが、そこにあるのは千年の時をして地元の民に愛され親しまれてきた、本来土着の信仰と心の拠り所であった鎮守・氏神の姿を彷彿として現代に伝え続けています。

鳥居や拝殿に掛かる “注連縄” は細手で大きくうね曲がり、餌を狙うかのごとく開いた口からは真っ赤な舌を覗かせる、正に注連縄の原初の姿をそのまま受け継ぐかのような姿で、この社の古く神厳な有り様を現しているかのようです。(元々、注連縄や鏡餅の原義は蛇であるという説があります)

社伝・由来において創始 大同二年(807年) とも云われ、東国の開拓守護のため 磐裂神(いわさくのかみ)・根裂神(ねさくのかみ) を祀ったのが始まり、開運・方位除けに利益高き社なのだとか・・。

 

© 下野星宮神社 様

この下野星宮神社で毎年師走の月に恒例で行われているのが「行燈願掛け大鳥居」
真竹の骨組みに生地を貼り、高さ7mにもなる行灯の大鳥居を作り上げます。

その大鳥居の表面に 地元の子供達・公募で集まった子供達が新年への願をかけて、願い事を書き込んでゆく行事なのだそうで、子供ならではの素直な願いが例年、鳥居いっぱいに書き連ねられ、年移ろう年末・年始の里の夕景にほのかな明かりを灯しだすのだそうです。*(本年の願掛け書き込み行事は終了しています。コロナ対策のため事後記事としました。ご了承ください。)

通常は絵馬などを使って行われる “願掛け” 、神社の象徴でもあり神域との結界でもある鳥居そのものに願い事を書き込んでゆく、このユニークな取り組みは地元の有志方の協力もあって20年近く続けられており、今までに何度かテレビでも取り上げられています。


日が沈み辺りが夕闇に包まれる頃 灯し出す行灯鳥居の灯りは毎年 色を変えられ、今年の色はブルー、子供たちの願い事とはいえ今年はさすがに “コロナ退散” への願いも少なくないそう・・

今月19日に行われた願掛け書き込みの後、子供たちに振る舞われたごほうびは何と焼きたての焼き芋だそうで、ホクホクの甘さに皆の顔もほころんだことでしょう。
こういった様子も昔ながらの地元に根付いた風情を際立たせますね。

参拝してくれる人の楽しみにと始められた四季折々・祭礼由緒に彩られた “御朱印” など、地方の小規模な社にあって地元の民のみならず、神社巡りを趣味にしておられる人々からも親しまれる「下野星宮神社」

子供たちの願いを乗せた大鳥居の灯りとともに、安寧の祈りを込めながら今年も新たな初日を迎えようとしています。

 

コロナ、コロナで明け暮れてしまった一年、実際の病害だけでなく目に見えない脅威に対して翻弄され、様々な迷いや歪みを生じさせてしまった人々の心と社会。

どうか少しずつでも世の荒波が落ち着いて、再び安らぎの中に人々の暮らしと心が戻りますように、活気の中に社会の行く末がありますように・・

本年も一年間誠に有り難うございました。 皆様、良いお年をお迎えください。

「下野星宮神社」 公式サイト

 

今年はこちらから宅内初日の出を済ませておくのもアリでは・・?(^^

 

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