千三百の時をこえて花開く万葉の狭衣 – 富山県

とてもではありませんが 執筆などという大それたものではありません。

開始以来3年半も続けているにも関わらず未だお粗末な文章・内容でお恥ずかしい限りの当ブログですが、それでも こうして記事を書き続けていると、時にその更新に悩み、そしてまた時にあれこれ考えを巡らせ、こんな内容、あんな内容のトピックを書いてみたい欲求に駆られます。

イナバナ.コムでは各地の話題をお送りするとともに、比較的 歴史や民話・伝承に関わる記事の比率が多いのですが、以前から 日本人の服装や髪型、そして暦などの歴史を取りまとめたような記事を書いてみたいと考えていました。

されど、悲しいかな お目にかける程の知識も教養も自分自身には無く、資料を集めるにも中々にはかどらず、その計画が日の目を見ることはありませんでした。

 

しかし、拙い記事ではなく リアルにその目で千三百年前の衣装をご覧になれる企画展が富山県で開催されていることを知りましたので、遅れ馳せながらご紹介したと思います。

富山県の北西部、湾に面した高岡市の一角「高岡市万葉歴史館」において「山口千代子 万葉衣装展」が11月30日(月)迄の予定で開催されています。

奈良時代も末 大伴家持が国司として5年に渡りこの地で采配を振るい、その赴任中に223首の和歌を残したことから、高岡市は「万葉集」縁の地を大きく謳っており、「高岡市万葉歴史館」も その風土の中で全国的にも希有な万葉集専門の博物館 / 研究施設として平成2年に開館されました。

案内によると「万葉」に関わる故地は全国に41の都府県に渡り「万葉」に基づいた施設も多いものの「万葉集」を中心に据えて専門的に研究、また情報交流の場として機能する博物館は初めてのものだそうです。

画像 © 高岡市万葉歴史館 様

今回の展示会で万葉の衣装制作を担当された山口千代子さんは、服飾家として全国的に著名な方ですが、服飾業のかたわら仏教文化・美術に興味をもったことを契機に飛鳥〜奈良時代の衣装再現に取り組み数々の作品を残してこられました。

古代の服飾に関しては奈良 正倉院などに史料が遺されているものの、直接的な補修・再現は認められていないため、それらを含む多くの資料をもとに新たな創造を試みるのですが、山口さんによる衣装の再現性は非常に高く 2010年には平城京遷都1300年記念番組「45日間奈良時代一周」(NHK)の衣装も担当されており、今日では古代衣装制作の第一人者として知られています。

その山口さんの手による万葉の時代の衣装が数十点に渡って展示され、間近に見ることの出来るこの機会、古の衣装に興味をお持ちの方のみでなく、奈良時代の歌心を背景とした万葉文化の理解と修養にも大きく役立つものでしょう。

 

「万葉集」は奈良時代の末頃に完成された日本最古の和歌集であり、天皇を筆頭とする皇族から貴族、官人、芸人、一般庶民に至るまで、当時のあらゆる階層・職掌の人々が詠んだ4500首を越える和歌が収蔵されています。

内、詠み人知らず2100首を含みながらも100年を越える時の徒然に詠まれた歌は、その美しさや面白さのみならず 当時の世相や生活を知る上での貴重な史料でもあり、その精神性の発露のひとつとして、今元号「令和」の引用に用いられたことはご承知のとおりですね。

編纂者は複数ではないかと見られているものの、最終的に大伴家持が二十巻に及ぶ大作の成立に大きく関わったであろうことは確実視されているそうです。

優雅な歌人としての印象が強い大伴家持ですが、元々 武門士族の大伴氏の出自らしく兵部省も務めた高級官僚でもありました。(現在ならエリート防衛族といった感じでしょうか) 政争や騒乱が頻発した当時の世相の中で幾度もの浮沈を潜りながら 最終的には従三位(じゅさんみ)という上級位階で67歳の人生を全うしました。

普通では挿絵や漫画でしか見ることの出来ない奈良時代・万葉の衣装とその風俗、この機会にリアルな作品に触れれば、また そこが新たな興味と教養の出発点になるかもしれません。

少し寒さも強まりつつある昨今、暖かくしてお出掛けください。

 

「山口千代子の部屋」
万葉衣装企画・山口 公式サイト

「山口千代子 万葉衣装展」
高岡市万葉歴史館 公式サイト

日  程 : 2020年9月2日(水)~11月30日(月)

場  所 : 〒933-0116 富山県高岡市伏木一宮1-11-11

開館時間 : 午前9時~午後6時(入館は午後5時15分まで)
.    ※11月~3月は、午後5時閉館。(入館は午後4時15分まで)

休 館 日 : 毎週火曜日
.    ※8月31日(月)・9月1日(火)は展示替えのため休館
.    ※9月22日(火・祝)は開館、翌23日(水)は休館
.    ※11月3日(火・祝)は開館、翌4日(水)は休館

備  考 : コロナウイルス対策に関連して展示会内容の制限・変更の可能性あり

問い合わせ : TEL:0766-44-5511 FAX:0766-44-7335

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