愛と哀そして楽しきペッカリー・古代中南米の美術 – 岡山県

冒頭からずいぶんとエキセントリックな面持ちの登場ですね・・

少々物憂げな眼差し、はっきり通った鼻筋、そして大きな鼻の穴・・
彼の名は「ペッカリー」 南米エクアドルを故郷にもつユニークなキャラクターです。

現在、岡山県備前市 「BIZEN中南米美術館」の専属キャラクターとして美術館の広報、そして 備前市、ひいては故郷エクアドルや中南米の文化を広く知らしめるために日夜 活躍しています。

 

“中南米” の美術館というのも中々珍しい存在感ですね。そのとおり 国内唯一、中南米の古代文化を紹介する考古美術館なのだそうです。 インカ、マヤ など日本でもその神秘的なイメージで知られる古代文明につながる 土器や土偶、織布など、2,200点にも及ぶ出土品を収蔵しているのだそうです。

そして、その貴重な品目の中の一点、約3,000年前にエクアドルで作られた “ヘソイノシシ” の土偶こそが、本日 登場の「ペッカリー」君なのです。

ペッカリー君 は9歳の男の子だそうで、一見 ややアンニュイな印象とは裏腹に好奇心旺盛、人懐っこく歌も大好きで “こんな歌” も歌っていますし、最近では “オフィシャルチャンネル” も出来ました。 なおかつ 岡山県観光特使、びぜん観光大使(備前市)、2017年には何とエクアドル国交100周年PR大使にも任命されており、まさに八面六臂の活躍ですね。

それでは ここで ペッカリー君から一言頂きましょうか。

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ウォッス!オイラ、ヘソイノシシのペッカリー

アンデスの女神さまから、日本人の心をいやすための天使すぎる歌声をもらったキャラなんだよ♪

オイラは、このお部屋の住人で、三千年の時を超えてやって来たエクアドル、チョレーラ文化の土偶。愉快なポーズをしてるけど、「人の心の声に耳を傾け気持ちを理解する」珍しい土偶なんだ。しかもオイラ、なんとキャラクターにも変身出来るんだよ!いまじゃペッカリーっていうと、ご当地キャラ界で知らない人はいないよ・・・
たぶん^O^;
(ブログ : ペッカリーの部屋 より抜粋)

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© BIZEN中南米美術館 様

 

 

そもそも、ペッカリー君の元となったオリジナル「ペッカリー」とは南北アメリカ大陸の主に亜熱帯地域において見られるイノシシの近縁種(イノシシ亜目)で、和名で “ヘソイノシシ” とも呼ばれます。

性格は比較的 穏やかでイノシシのような大きな牙を持たず、群生で生活することが多いのですが、その中の目立った特徴として「サクリファイス」が挙げられるそうです。

ー 「サクリファイス」
群生が他の捕食者(ジャガーやピューマなど)によって危険に晒された場合、群生の中の老齢などで弱った一体が進んで捕食者の方に歩み出る。そうすることで群生そのものの退避と種の保存を維持している。 リチャード・ドーキンスによる “利己的遺伝子説” によって説明される動物行動のひとつと考えられている。ー

何とも悲哀を思わせるような、慈愛に満ちたような習性ですが、種族の維持を優先するために自らの命を捧げるその有り様は、たとえそれが生物学的な振る舞いだとしても胸を打つものがあります・・。 もしかしたら 3000年前に土偶として作られ遺されたのも、当時の人々にそういった 仲間を守る姿が愛されたからなのかもしれませんね。

 

 

岡山県、東の玄関口とも言える日生町(ひなせちょう)瀬戸内の小島も望む日生湾もほど近い閑静な町の一角に佇む「BIZEN中南米美術館」、 日本人に縁深きにも関わらず いまだ認識の浸透していない 中南米の文化や古代文明の紹介・認知に尽力してきました。

日生町の地場産業昂揚に努め国内外美術に造詣の深かった 森下精一 氏(1904-1978)による「財団法人森下美術館」(1975-2005) を前身にもち、2005年 孫である 森下矢須之 氏によって改称、「BIZEN中南米美術館」となり、同時に新しい時代に即した展示方式を導入、現在に至っています。

「BIZEN中南米美術館」では単に展示物を飾って良しとするだけでなく、古代マヤ文明期の “香” の体験イベント、民族衣装の着衣体験、館長自身によるオカリナ演奏会など新機軸のイベントを次々と提案開催、インターネットを活用した南米関連物産品のモール開設など精力的な活動を続けており、その甲斐あって中南米美術館のファンも確実に増え続けているようですね。

 

戦後、一時期にあっては日本からの移民も多くそのつながりも 一入でない中南米、ラテンの熱い情熱と先住民族の苛烈な歴史を今に伝える憂いに震える旋律、日本人が中南米に持っているイメージは様々ですが、その辿った文明の道を一度はこの目で確かめてみたいものです。

現在、コロナウイルス感染抑制に関連して「BIZEN中南米美術館」でも入館制限を行っている最中ですが、コロナウイルス問題が収束した暁には一度 足を運ばれてはいかがでしょうか。
きっと知っているようで知らなかった新しい発見が ペッカリー君 とともに貴方を待っているはずです。

「BIZEN中南米美術館」 公式サイト

 

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