目で見て肌で感じる昔の暮らしのリアリズム – 大阪府


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『 暮しの手帖 』
昭和28年(1953年)から現在に至るまで永く愛される生活総合雑誌です。
若い世代の方はともかく、昭和生まれの年齢層には少なくとも一度や二度 目を通されたことのある方も少なくないのではないでしょうか。
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前身である「美しい暮しの手帖」そして「スタイルブック」まで含めると実に刊行66年の歴史を持っています。
ジャーナリストである花森安治氏と、同じく編集者でありエッセイストであった大橋鎭子氏によって 最初の雑誌「スタイルブック」が創刊されたのは昭和21年、”スタイル” など構っていられぬ、未だそこここに焼け跡も残る終戦間もない頃のことです。
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閉鎖的であった戦中思想が終わりを告げたものの、世は戦禍の爪跡も深く 物自体がまだまだ不足していた世情、来たるべき新時代に向けてふさわしい服飾や生活の提案という、正に焼け跡に芽吹いた花のような、乏しい中にも希望に満ちた出奔であったわけですね。
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時が移り 高度成長の時代に入ると旺盛な消費動向を反映して、生活とより良い製品のマッチングを探るべく”商品テスト” を導入、時に誌上側から改善への提唱をするなど 常に時代と消費者の生活に寄り添った誌面作りを進めてきました。
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昭和、平成、そして令和と半世紀をはるかに超えて人々の生活とともに有り続けた「暮らしの手帖」は今日も隔月刊として刊行されています。

 

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大阪市北区 天神橋「大阪市立住まいのミュージアム」にある『 大阪くらしの今昔館 』は ” 住まいの歴史と文化 ” をテーマに展示やイベントを行う住宅関連の博物館です。
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江戸時代から昭和期に至るまでの暮らしをリアルな町並みや数々の展示物で来館者に披露する『 大阪くらしの今昔館 』は、単に並べて見せるだけの展示ではなく”触れて” “感じて” 楽しめる体感型のミュージアムをポリシーとしているようですね。


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この『 大阪くらしの今昔館 』で 来月2月14日(金) まで開催されているのが企画展『ちょっといい「昔の暮らし」』
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プレスリリースからはちょっと年代の特定が出来ませんが、大正期から昭和前半の感じでしょうか、往時、大家族な町家の台所が精巧な特大ミニチュアとして再現されています。
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核家族化と 電化製品やシステムによる合理化が進んだ現代と違い、職住一致も多かった当時の世相の中では多くの家族や職人を手作業で賄う手間と、そして 道具が必要でした。
そこには今では考えられないような多くの手間暇と労力が必要であったのと同時に、幾多の知恵や物を使いこなす工夫が息づいているのです。
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日々の営みを紡ぐために生み出された道具、そして それらに囲まれた当時の生活、今のように便利ではないけれど “物” と “知恵” と “心遣い” が生きていた時代の佇まいの中にあなたは何を感じ、何を見出すでしょうか・・
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展示には上でご紹介した『 暮しの手帖 』が当時のままに 添えられるように展示されるそうです。 『暮しの手帖』に案内されるが如く多くの展示物と相まみえて、より鮮やかに より奥深く “昔の” 生活の機微としとやかさを知ることが出来るでしょう。

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上階、「なにわ町家の歳時記」は 天保年間(江戸期)の大阪の町家筋を実物大で再現した『 大阪くらしの今昔館 』のメインモジュールでもあります。 サムライの時代に活気をもって動いていた大阪の町に暫しタイムトリップされるのも良いかも・・

 

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また、「大阪市立住まいのミュージアム」ビルの すぐ横には、”日本一長いアーケード”「天神橋筋商店街」も控えています。 発祥江戸時代ともいわれ大阪天満宮の表参道として栄え、戦後には大阪の生活文化の一端を担ってきた商店街筋、ミュージアムにおいでの際にはぜひともお立ち寄りを・・ スマートではないけれど心惹かれる何かにきっと出会えるのではないでしょうか。

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『ちょっといい「昔の暮らし」』 大阪くらしの今昔館 公式サイト

会 期:2019年12月16日(月)~2020年2月14日(金)
.休館日:毎週火曜日、年末年始(12月29日~1月2日)

開館時間10時~17時(入館は16時30分)

会  場 : 大阪市立住まいのミュージアム(大阪くらしの今昔館)企画展示室
住  所 : 〒530-0041 大阪市北区天神橋6丁目4-20 住まい情報センタービル8階

入 館 料 : 企画展のみ300円
.     常設展+企画展   一般800円(団体700円)
.     高・大生500円(団体400円)(要学生証提示)
.     *団体は20名以上 *年間パスポート、大阪周遊パスで入場可。
.     *中学生以下、障がい者手帳等持参者(介護者1名を含む)、大阪市内在住の65歳以上の方は無料(要証明書提示)。

交  通 : Osaka Metro堺筋線・谷町線「天神橋筋六丁目駅」3番出口から直結
.     JR大阪環状線「天満」駅から北へ650m




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