アエノコト 夫婦神迎え豊年祈る古の祭礼 - 石川県

11月も半ば、日中はともかく朝晩はすっかり冷え込むようになりましたね。
人間とは勝手なもので、同じ気温でもこれが3月4月であれば「ずいぶん暖かくなったなぁ」とホッとするものですが、これから冬に向かうこの季節では私のような寒がりは只々心細いばかりです。(苦笑)

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寒さに閉ざされてゆく季節を前に、秋、刈り入れた収穫に対し人は古来から感謝の祈りを捧げてきました。
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「新嘗祭 / しんじょう・にいなめ祭」とは その年の収穫に感謝して 神の御前においてこれを供え祝う神事の事を言い、数多ある”収穫祭” の中でも皇室や神宮、出雲大社などで執り行われる格式高い祭儀のことですが、これに類する非常に趣深い祭事が石川県 奥能登の地で行われます。

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「アエノコト」 アエ とは古語に通ずる言葉で”饗”(食事)コト は”事”(祭事)を表しているそうです。 神様をお招きして饗宴を囲い祝う行事ということですね。
奥能登で古より連綿と伝えられるこの祭事は1976年(昭和51年)に国の重要無形民俗文化財に認定され、2009年(平成21年)にはユネスコの世界無形遺産に登録されています。
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毎年12月の5日、祭儀が行われる家では家族全員で”田の神” をお迎えします。
神様はお一人ではなくご夫婦お二人連れなのだとか・・
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主人を筆頭に家の中に迎え入れ、一時の休息を挟んだ後はお風呂にも入って頂き一年の疲れを取ってもらいます。神様が温まり一息ついた後には床の間へ案内され並べられたご馳走を前に そこでお食事と相成られます。
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こうして主家の歓待を受けてくつろがれ、この日の祭儀はとりあえず一日で終わるのですが、この神様ご夫婦はこの後 家の中に坐され雪に閉ざされる冬を一家とともに過ごされることになっているのだそうで、往古から続く儀式の中にハートフルな側面を見る思いですね。

 

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当然、神様は目に見えず、言葉を発することもないので、主人は一本の扇子を御先にそこに神様を見立て、終始 丁寧に語りかけながらご案内の務めを果たされることになります。

いわゆる”一人芝居” の形ですが、目に見えない神を相手に立ち振る舞う神事と言えば、愛媛県大三島の大山祇神社で行われる「一人角力 / ひとりずもう」が有名ですね。
姿現さぬ神と三本勝負を行い2勝1敗で神の勝ちとなるのが定例ですが、ここでも相手になる神様は”稲作の神” であり 春の田植え前、そして 秋の収穫後の時期に神事が執り行われます。

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「アエノコト」「一人角力」どちらも共通していることは、目に見えぬ神を相手にすることのみならず、神と人間が同一の舞台、同じ次元で相対し交流を成していることです。
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「まだ神々が人の近くに居た頃・・」とは伝説などをモチーフとした物語などでよく聞かれるフレーズですが、人の生活が自然と密接に関わり合いながら営まれていた時代には、神々も時折 民草のそこここに顔を出していたのかも知れませんね。

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「アエノコト」祭儀で民の家で冬を越された神様ご夫婦は 翌年、田打ち前の2月9日家の者に見送られ、また田に帰ります。
旧年の加護と収穫を感謝され 新しき年の豊年を祈願された神々はきっとその願いを聞き届けてくれるのでしょう。

 

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「あえのこと / アエノコト」神事実演

日  時 : 2019年12月5日(木) 午前11時頃から神事始まり

場  所 : 〒928-0312 石川県鳳珠郡能登町上町ロ1-1
.     能登町柳田植物公園内 合鹿庵

駐 車 場 : 20台 満車の場合、周辺の駐車場を利用

お問い合わせ : こちらから 能登町 当該サイト

やなぎだ植物公園 / 能登市 柳田植物公園 公式サイト

 

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