おはな伝説 水湛える国の渇水と祈り - 滋賀県


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早いもので8月も半ば、お盆を迎える頃となりました。
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最近ではスライド式とでもいうのか お盆休み / 夏季休暇も ずらしてとられる方も少なくありませんが、やはりこの季節は帰省とUターンの季節でもあります。連日の猛暑に耐えながら ようやくお盆休みともなると今度は交通渋滞、そしてまた休み明けの仕事と・・日本の夏は中々に過酷ですw。
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とは言うものの、それが日本の風物詩ならば何とかこなしてゆく他ないのですかね・・

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日本における”お盆” の始まりは一説には日本初の女帝 推古天皇 の時と言われますから、飛鳥時代から実に1400年以上続けられているということになりますね。
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お釈迦様による原初の教義には”霊” の言及が無かったのですが、語り継がれてゆくうちに 各地の文化 / 祖霊信仰と混ざり合い”盂蘭盆会” として形作られ、日本に導入されて さらに神道と習合しながら今日に続いています。

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ご先祖様の供養が本位とはいえ、親類家族が集うイベントとしての意義も大きい”お盆” ですが今年の皆様のご予定は如何でしょうか。
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地方人口の減少とともに盆踊りなどの行事も減少傾向にありましたが、近年では地方回帰を狙って復活を促進させている自治体も少なくないようです。
旧知の友人や知人と再会出来るのも”お盆” ならでは、単なる消化イベントで終わらず素敵な想い出の時となると良いですね。

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お盆も開けた 8月21日 滋賀県犬上郡甲良町の日吉神社で「おはな踊り」が開かれます。
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雨乞いの祭祀を元としたものですが、この主人公”お花さん” についての少し悲しい伝承が残っています。

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今は昔 甲良北落の村にお花と呼ばれる美しい娘がおった
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召されて都の高家に上がっていたが ある時 病を得て伏せることとなってしもうた
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これが中々に治らず 気のおけぬ実家ならばと ひととき故郷へ帰されたのだと

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ところが田舎で安静をかこっても病癒えるどころか日毎に苦しゅうなるばかり
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ここに至っては神仏に願掛ける他無しと鈴ヶ岳の御池に立ち祈りを捧げた
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「どうかこの病を祓うてください 癒えたならば 生涯 龍神さまに仕えまする」
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懸命の祈りが通じたのか 程なくして娘の体調も上向き やがて快癒したそうな
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娘と家族は喜び庭先に龍神さまの祠を作るとそれを祀り 鈴ヶ岳にも足繁く登り御池にもお詣りを欠かさなかった

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そんなある日 娘はひとりの青年と知り合うた
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話しを交わすうちに親しくなり 逢瀬を重ねるうちに恋仲となり やがて夫婦となる契りを交わすこととなった
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ある夜 お花の夢枕に龍神が立った

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「我との約束を忘れたのではあるまいな」
「その黒髪をもって御池に捧げよ」

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目を覚ましたお花は深く悲しんだが やがて親御と村人にそのことを伝え髪を下ろすと それを託し最後にこう言うた
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「村が日照りに苦しみ水不足にあえぐ時は 御池に詣ってください 私から龍神さまにお頼もうしましょう」
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それだけ言い遺すと お花はこと切れた 龍神さまに嫁いだのじゃろう

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その後 お花の言葉どおり 村が旱魃に見舞われた時は村人は必ず御池にお詣りする
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そうするとたちどころに黒雲が沸き立ち雨に恵まれるそうな
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村人は お花の遺徳を忘れぬようお堂を立て今も祭りを欠かさないでいる

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東近江 御池岳の山頂にあるドリーネ(石灰岩質の窪地)には季節天候によらず 通年 水が湛えられているそうです。
そんな不思議な現象と麓の村に伝わる伝承と結びつき、いつしか御池岳が雨乞いの場となったとか・・
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「おはな踊り」では 花を手に手に日吉神社に集った人々が”お花堂” に花を手向けた後、鉢巻を巻いた若者が 胸には太鼓、背中に幟を立てて踊ります。その周りで花傘を被った子供たちが竹筒の小物を振りながら舞を舞います。
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派手な祭りではありませんが、そこには昔日から渇水に苦しみ そして待ち望んだ安寧な暮らしへの願いが込められているのです。
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そして、驚くべきことに(不思議なことに)踊りが始まると本当に小雨が降り出す確率が異常に高いのだとか・・ 踊りが終る頃には上がるのだとか・・
オカルティックな話かどうかは別として少なくともネット上ではそういった記録が散見されるのです。

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日本最大の湖を抱く滋賀県、さぞ水には不足ないことだろうと思いきや、意外なことに現代的な水道インフラが整うまでは 多くの村々では旱魃に苦しむことが多かったのだそうです。
平野面積が限られ山地に降った雨の大半が琵琶湖に流れ込んでしまうためだとか・・
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目の前に巨大な淡水湖を臨みながら その水利を整えるための苦労
そして、現代にあってはその水質を維持管理するための苦労
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人間にとって欠かすことの出来ない “水”
良質な水利の確保には公的な取り組みのみならず、ひとりひとりの利用意識、そして自然の恵みへの意識にもあるのではないでしょうか。

 

 

『 おはな踊り 』 毎年8月21日

滋賀県犬上郡甲良町北落 日吉神社

詳細は こちらから (公社)びわこビジターズビューロー

 

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