幻想の大根やぐらに千年の息吹が宿る – 宮崎県

お漬物 食べてますか? かつては日本の食卓に欠かせない一菜であった “漬物”。大根、キュウリ、白菜、青菜にかぶらに茄子、高菜。言うまでもなく梅干しやラッキョウ(酢漬)も漬物の一派。そのバリエーションの豊かさは “ 日本食” の中でも大きなジャンルを築いていますね。 ウチでもお義母さんが ぬか漬けを漬けてくれるので、いつも食卓に上がっています。

素材だけでなく その作り方も、たくあん、ぬか漬け、粕漬け、醤油漬け、酢漬け、味噌漬け、からし漬け・・etcと数え上げれば切りが無いほど多岐に渡って、軽い副菜としてのイメージを超えた奥深さを物語っています。 そもそも軽い副菜といっても “一汁一菜 ”、食生活が今ほど豊かでなかった時代にあっては “ご飯、味噌汁、漬物” と卓上の主役でもあったのですから、その質の高さは当然だったのかもしれません。

 

漬物は元々 長期保存を旨とした加工食品であり、現代のような冷蔵・冷凍保存技術がなかった時代の食品として理に適ったもの。

最も古い時代への考察としては何と縄文時代といいますから万年レベルの歴史ということになります。野菜の皮を塩漬けのようにして保存していたのではないかとされているそうで、経験則だけが頼りの時代・・ならではの発明品だったのでしょうか。

もう少しはっきりした漬物としてのはじめは奈良時代だそう。それでも千年を優に超える食品史といえますね。天平の頃の木簡に “ウリの塩漬け” に関する記述が残っているそうです。 平安時代にはその種類も増え既に50種類にも達していたのだとか・・。

酢漬けや醤(ひしお)漬け、須須保利(すずほり)と呼ばれる現代の “たくあん” の祖ともいえる漬物も漬けられており、漬物という食品の基本がこの頃に完成していたといえるでしょう。只、当時の漬物はまだかなりの高級品であり、口にできるのは限られた身分の人だけだったともいわれています。現代でいうならさしずめ “キャビア” あたりでしょうか・・w?

江戸時代に入って社会が安定し経済も発達する頃には、漬物の商業生産も進んで “漬物屋” が成り立ち、町人の食卓にも広く行き渡るようになったそうです。現代に続く食文化の基礎が築かれました。

 

発酵食品は概して身体に好影響といわれます。栄養素や抗酸化物質を豊富に含むとともに身体の吸収性を補助し免疫力を高め、また腸内環境をも整えるため健康とともにアンチエイジングにも効果があるといわれています。自然に近い食品であるため身体に馴染みやすく副作用が少ないことも、永く摂られ続けてきた理由でしょう。

只、漬物や味噌汁も含めて発酵食品の中には “塩分が高い” ものもあるため、その場合 高血圧症状や腎臓への負担につながる場合もあり過剰な摂取には注意が必要です。

まぁ、発酵食品に限らず どんな食品や嗜好品であっても、過剰な摂り方は畢竟良い結果を招かないので、バランスを考えた食事が土台にあることは基本中の基本のということなのでしょう。

米麹と塩

・・とか 偉そうに書いてますが、書いてる本人はどうなのか?といえば・・、私も味噌汁も好きなら漬物もよく食べます・・が、(特に漬物は)かなり辛い “たくあん” などを好みます。梅干しなんか甘めのものは全くダメで、塩の結晶が付いているような極めて辛酸っぱいものが大好きです。醤油もよく使いますし、遠からず血管プッツンですかね (^_^;) 笑い事ではありませんが・・。

とりあえず、私自身も皆様もバランス重視の食卓で健康寿命維持といきたいところですかね・・。

 

ということで、漬物コラムの出来損ないのような文を並べてしまいましたが、ここでようやく本日のご案内です。

冬になると やたら増えるイルミネーション・イベント、先日当サイトでも “昭和を思い出す夕日の街灯り” をご案内しましたが、本日はこれまた希少な?ライトアップ・イベントをご紹介いたします(綺麗なだけの普通のイルミネーション・イベントを紹介する気がないw?)

その名も『大根やぐらライトアップ』 九州は宮崎市、田野・清武地域で新年1月14日まで開催中、畑の休作地に大根を干すため組まれた “干しやぐら” “干し棚” “大根すだれ” などと呼ばれるもの。

“たくあん” や “切り干し大根” を作るために吊られ干された大根棚は全国に見られますが、宮崎市 田野・清武の “大根やぐら” は “露地畑作” と古くから培われた “干し野菜” の技術で令和3年「日本農業遺産」にも認定され、当地の風土的シンボルともなっているそうです。

普通は畑地や勾配の空き地などに “ただ干されている” だけの大根やぐらのはずですが、当地では歴史的な風土文化であることも踏まえ地域発信の要として、様々なイベント創出に取り組んでおり『大根やぐらライトアップ』もその一環といえるでしょうか。

 

地上6mまで組まれ そそり立ち並ぶやぐらは思う以上に大きく、昼間に見るだけでも相応の壮観さを見せてくれます。内側から見るとまるで遊園地か何かの通り抜けのよう・・。 長さは20〜100mにも及び、内側は軽自動車も余裕で通れるようですから その大きさも知れようというもの。

そのやぐらに夜間 色とりどりのライトアップを施すのですが、これが不思議に幻想的な姿を見せてくれるのです。行楽施設などで催される幾何学的なイルミネーション・イベントとは、また違った妙なる美しさを堪能してみてください。 田野運動公園の傍らにて開催されているので駐車場もあり、アクセスにも便利だと思います。

ライトアップ・イベントというと、どうしてもその美しさばかりに目が奪われがちですが、色鮮やかに照らし出される無数の大根の向こうには、数十、数百、数千年に及ぶ自然の保存食品の歴史が息づいています。

食生活の変化から減少傾向が続く(近20年で4割減)漬物や味噌汁の存在や歴史、そしてこれからの関わり方をもう一度見返してみる機会かもしれませんね・・。

 

『大根やぐらライトアップ』

開催期間:2023年12月15日(金)~2024年1月14日(日)
12月15日(金)17:30~ライトアップ点灯式
開催時間 :18:00~22:00
開催場所:宮崎市 田野運動公園南側駐車場横ほ場
問い合わせ:0985-86-1114 宮崎市田野総合支所農林建設課

* 駅前駐車場などでもライトアップがあるようです。参考サイト

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