イナバナ.コムは2017年の4月1日から始まりました。エイプリルフール、冗談のような開始日でしたが何とか今日まで続けてくることができ、本年は10年目を数えます。
これもひとえに来訪していただける皆様のお陰と思っております。今後とも宜しくお願い申し上げます m(__)m
開始から翌月の5月20日、新緑瑞々しい季節にポストしたのが「新潟県 驚きの綱引きプラス!白根大凧合戦」。 拙い内容がお恥ずかしい限りですが、立夏も間近のこの時期に仕立て直してお送りしたいと思います。
真っ青な大空で勇壮に舞う大凧に想いを馳せながら、お読みいただければ幸いです。
白根大凧合戦(しろねおおたこがっせん)。新潟市の内陸部、南区白根の脇を流れる “中ノ口川” 河川敷で行われる合戦形式の凧揚げイベントです。
最大縦7メートル×横5メートル。地面ならば乗用車でも3台が余裕で置けるほどの巨大な凧が、川を挟んで東西に分かれた両岸からそれぞれゆっくりと揚げられます。
凧を引き揚げる引き手は、町の住民をはじめとして観光参加者も交え一張につき数十人。ときに重量50kgにも達する大凧が風を受ければ それでも大変な作業といえるでしょう。
さらに、凧はただ空に揚がるだけでなく東側(白根地区)の凧は横方向へ動きやすい設計がなされており、対して西側(西白根地区)から挙げられる凧は高く舞い上がった後に旋回しながら一気に降下するような調整をされているのだとか。
これらをタイミングを合わせて両岸から揚げることにより大凧は必然的に絡み合う形となり、ついには中ノ口川に墜落してしまいます。
そして両陣営の本当の戦いはここから始まるのです。
凧というものは元々 繊細で華奢な構造のもの。
しかし、白根の大凧はその巨大さもあって中々に頑強な造り。川に落ちれば表面の紙は破れ落ちてしまいますが、骨組みはちょっとやそっとでは壊れません。
さながら両陣営の闘志を象徴するかのように複雑怪奇に絡み合い、川の上に宙吊りになった凧の残骸を、両岸の引き手はここから力いっぱい引き続けます。 ついさっきまで凧揚げだったイベントは急遽 綱引きへと移り変わります。
町民・観光参加者一体となり応援の掛け声飛び交う中、川面の凧をつなぐ綱が切れ、どちらかの岸側に凧が引かれるまで この戦いは続けられるのです。
古くから続く対戦型の凧競技に “喧嘩凧” というものがあり浜松市や長崎市など各地で伝統的に開催されていますが、これは凧を引く糸を互いに切り合い落としてしまうというもの。非常に精細な工程と熟練の操作技術を要するピーキーな競技。
これに対して白根の大凧合戦は同じ対戦型の凧競技でも、雄大さと多くの引き手の一体感が重視される力強くゆったりとした競技といえるでしょうか。
町ぐるみの奇習ともいえそうなこの「白根大凧合戦」。
事の起こり、由緒ともいえる伝承があるそうで・・。
一説には江戸時代の中期、中ノ口川の堤防改修工事の落成のお祝いにと白根(東側)の人が凧を揚げたところ対岸の西白根側に凧が落ちてしまい、その田畑を荒らしたことに怒った西白根側の人が、対抗して凧を作り白根側にわざと落としたことが起源というもの。
また他説には同じく江戸元文年間、領主より拝領した凧を揚げたところ向こう岸に落ちてしまい、対岸の家屋を損壊したことが起こりとなって・・という話もあるそうで・・。
まぁ当時としては重大な事故だったのかもしれませんが・・。
単に打ち込みなどの暴力沙汰に流れず、わざわざ同じ凧を作って応酬したというところにウィット性を感じますし、何よりそれが300年近く伝統行事として続けられていることからも両村の友誼の強さが感じられますね。
「白根大凧合戦」ではメインイベントである大凧合戦以外にも “子ども大凧合戦” やパレード、フォトコンテストなど関連イベントも盛りだくさん。
町ぐるみのイベントでもあるので、期間中は東西の町内それぞれもお祭りモード全開です。
近隣の白根総合公園エリアには伝統博物館である「しろね大凧と歴史の館」もあり、白根の伝統凧の展示資料はいうに及ばず世界各国の凧に関する展示もあるそうです。
さらにDIY自分で凧を作り それを室内で揚げて試せる風洞実験室まであるそうで、凧の好きな方には必見の施設といえるでしょうか。
晴天に舞う大凧と勇壮快感のバトル、満喫の後はこちらで一息つきながら楽しまれるのも一興かと思います・・。
* 蛇足なメモ: 風に巾(風冠に布地の意)と描いて「凧」であり、ご想像のように その姿が海の蛸(タコ)に似ていることから付いた名だと思われますが、似たような海の生物と言えば “烏賊(イカ)” 。 ということで、歴史的に見ると古くには空に揚げる凧を「いか」と呼んでいた時代・地域もあるそうで、今もその呼び名が残っている地方もあるのだとか・・。 貴方のお住まいの地域は如何ですか・・?
開催日:2026年6月4日(木)~8日(月) 13時~開戦
場 所:新潟県新潟市南区 中ノ口川堤防上
(凧見橋・白根橋間)
主 催:白根大凧合戦実行委員会
注:大凧の流れに対する風の影響が非常に大きいため、当日の天候風向きによっては凧揚げ中止の処置がとられる場合があります。ご留意ください。



