時を超えて出会うあおによし風光 – 奈良県

まだ暑さの日和が時折のぞくものの朝晩は大分に涼しくなってきました。散策、遊学、趣味や行楽に絶好の季節の到来です。

冒頭から私事で恐縮ですが、学生時代から古の趣き漂う奈良の風情が好きでよく出掛けていました。 居住地である和歌山県から自転車で五条市を越えたり、また高校時代にはまだ二輪車免許の取得が許されていたことから、原付のロードバイクで何度も訪れたものです。

全く個人的な印象なのでしょうが、奈良の空気はいつもおぼろげにゆったりとして流れているように感じるのです・・。

 

五条から十津川に連なる山並み、数多の貴人が春を愛でた吉野の桜、往古のロマン溢れる明日香や桜井、橿原、そして今はその形跡さえ薄いものの かつての巨大都市であった平城京の面影。

古代への想い尽きぬ者にとって奈良・平城の都は、より機能的に進化し京に開かれた平安京にも増して、夢と憧れに満ちた故郷なのではないでしょうか・・。

歴史的に見るなら、まだ都とは言い難い規模ながらも王宮を頂いていた “飛鳥京” をはじめに、新益(あらまし)として本格的に造られた “藤原京”。 その藤原京で培った知見を土台に、唐・長安都城を模範として造営された “平城京” へと続く訳ですが・・。

何というか(経時的な意味から当然なのですが)平安時代の事跡に比べて不明な部分も多く・・、かと言って それ以前の時代における曖昧さほどでもなく、”平城京” はその構築性と不透明さを絶妙なバランスを保ちながら現代の私たちに語りかけてくれるのです。

奈良県 吉野山

茫洋とした光と風に包まれし “あおによし” 都。
往昔の彼方に今も通ずる奈良の姿を20年に渡って撮り続けた、写真家・谷沢重城(たにざわしげき)氏の手になる作品展が、11月30日(日)まで「平城宮跡歴史公園 平城宮いざない館」にて開催されています。

その名も企画展『時空をこえて ーならのみやこの内と外ー』

大手新聞社のカメラマンとして実践的報道写真に取り組む傍ら奈良の風情に魅せられ、退職後もその撮影を続けることをライフワークとしています。

参考画像からも瞭然であるように、氏の作品は風雅に満ちた奈良の美しさを余す事なく伝えてくれますが、それは単に美的というにとどまらず、有り余る古都への憧憬に裏付けされたものであろうということ。

文中にも記した “あおによし” が奈良の都を指した言葉であることは皆様がご存知のことと思いますが、その意は “奈良の自然の青さ(緑)と建物に塗られた丹色” のコントラストの美しさが語源ともいわれています。

奈良の紀行雑誌に作品を寄せ続けるほど大和路に愛着を持つ氏の作品50数点、まさに “時空をこえた” ロマンと感動をご賞味ください。 私も観覧させていただくべく調整中です・・。(^^)

企画展『時空をこえて ーならのみやこの内と外ー』公式サイト
・平城宮跡歴史公園 奈良県奈良市二条大路南三丁目5番1号

Amazon:『平城京のごみ図鑑 -最新研究でみえてくる奈良時代の暮らし-』

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