“ワサビ / 山葵”。 如何でしょう、お好きでしょうか?
口に含み過ぎるとツーン・・と鼻に抜けるので、苦手という方も時折おられますね。
ネットの情報にどれだけの信憑性があるか不明ですが、一通り見る限り、年配層より若年層、男性よりも女性の方に苦手な方が多いように見受けられます。 味や香りの感覚は人それぞれですし、苦手だからといって別にどうということもないのですが・・。
しかし、市販されている簡易ワサビと、新鮮な本ワサビをおろしたものとでは予想以上に差があり、味わいや香りは言うに及ばず、舌や鼻奥にくる刺激も異なります。 とても爽やかな芳香と味わいなのです。
近年の和食ブームの影響か世界的にも “WASABI” の名で知られ、調味料やドレッシングとして人気が高いのだとか。
機会があれば一度は体験されてみてはとは思います・・。
只、少々お値段が張ることが問題ですが・・(^_^;)。
ワサビは本来 日本固有の植物であり食材です。中国大陸にも近縁種が自生していますが、数百万年前に分化した種であり食材としての適性は日本自生のものが適しています。 それゆえ日本においては国内産のワサビを “本ワサビ” と呼称しています。
只、ワサビの栽培は適正地がいささか限られる上、高度な栽培技術も求められるため、大規模生産・大量供給が難しいという側面もあるようで・・。
そのため低価格と安定供給、さらに保存性まで必須の市販ワサビには “西洋ワサビ”(horseradish / ウマダイコン)が多く含まれます。 やたら辛かった原因は “大根おろし” に似た酵素作用によるものだったのです。
あ、一応 書いておきますが、”本ワサビ” をすりおろす時もちょっとしたコツがあるようなので、宜しければご一読のほどを・・。
本格的な春の陽射しも高まる中、ワサビの花も開花時期を迎えています。 小さく白く可愛らしい花弁を淑やかに咲かせます。華美な彩りはありませんが その香りとともに、見る人に春先の爽やかさを届けてくれます。
ワサビ産地近郊にお住まいでなければ、あまり目にすることもない光景ですが、この “ワサビの花” 食べることもできるというのをご存知でしょうか。
花が咲ききってしまうと風味が抜けてしまうのだそうで、つぼみが開きかける時期を見極めて摘み取りを行うため、1週間程の僅かな期間に収穫を終えなければならないそうです。
“ワサビの花” ・・ひっくり返して「花ワサビ」と呼ばれるこの食材。 春の山菜のように “天ぷら” にすると僅かな苦味を残した大人向けの料理になるそうで・・お酒に合いそうですね (^^)
他にも “おひたし” “醤油漬け” そして “酒蒸し” など、和風の食味をそそる粋な一品と言えそうです。
国内におけるワサビ産地といえば 静岡県そして長野県がランキングトップですが、岩手県はその次位に付けての一大生産地です。 特に山間の畑地で作られる “畑ワサビ” では、全国でもトップクラスといえるでしょう。
日本人の本源を求め続けた民俗学者 “柳田國男” による探求で知られた “岩手県遠野地方”。 柳田が “遠野物語” を発表した頃と前後して始められた遠野のワサビ栽培は、北上山系の清涼・潤沢な水資源を背景に本格化しました。
しかし、重なる河川の氾濫災害などにより、ワサビ耕作地は度々壊滅的な被害を受けてきたそうです。 時を経て現在遠野地方で安定して “畑ワサビ” が根付いているのは宮守町 “達曽部(たっそべ)” と呼ばれる地区だそうです。
その宮守にある『道の駅 みやもり』。(クリックでストリートビュー)
一見すると地方の町にありがちなホームセンターやドラッグストアが目を引きます。 道の駅はどこにあるのでしょう?
どうやら “ふれあい情報広場” やレストランと、これらストア群を含めて道の駅となっているようですね。
当然ながら地元特産品であるワサビと、ワサビ加工品(たっぺそ漬、わさびみそ、粕漬等)がお勧めだそうです。 余所では中々お目にかかれないお土産やメニューに出会えるかもしれませんね。
道の駅の隣りには “宮沢賢治”作「銀河鉄道の夜」のモデルとなった、「めがね橋」(宮守川橋梁:大正4年竣工 昭和18年改修)も架かり古風な面影を湛えています。 ノスタルジーな鉄道ウォッチにも一見の価値があるでしょう。
WASABIの故郷を訪ねる ちょっとスィートな旅、如何でしょうか・・?