変わりゆくものと変わらぬものの間で – 福島県

 

一番上の長男、一番下が三男、間にはさまる次男・・♪ は 「だんご3兄弟」

NHK「おかあさんといっしょ」発祥の歌でありながら200万枚をはるかに上回る売り上げを記録し、社会現象とまで言われた盛り上がりを見せたのが1999年、既に25年もの月日が経とうとしています。
さすがにブームは過去のものとなってしまいましたが、楽しい3兄弟の歌詞と歯切れのよいテンポで今でも子供たちには根強い人気の一曲ですね。

団子つながりで書き出してみましたが・・ 近年、正月に見かける事が少なくなってきたものに「団子挿し / だんごさし」と言う風習が有ります。 ”1月の半ば辺りまでは何となく正月気分・・”が通っていた昭和の末位までは結構見かけたものですが・・

 

「団子挿し」とは 松の内(元旦〜7日 / 15日)の明けた小正月の日。ミズキの枝に彩色して小さく丸めた団子や餅、また小判型の飾りをつけたものを軒先や屋内に捧げ新年の豊穣と健康を祈るものですが、最近では団子のかわりに玉型のお菓子や ものによっては樹脂製の飾りものが多いようですね。
その呼び名も所によって色々とあるようで「団子の木」「餅花」「繭玉」「目玉木」はたまた「玉飾り」などとも呼ばれているようです。

全国で見られる風習ですが、特に雪深い地方で今でもよく見にする事から北陸や東北地方の発祥とも見られています。 冬場 豪雪によって町並みの緑もみな枯れ埋もれてしまう景色の中に、たとえ作り物であっても花咲く木々の様子を再現することで、早い春の到来を願う思いが込められているのかもしれません・・。

 

画像©「福島稲荷神社」

福島県福島市、宮町にある『福島稲荷神社』では例年小正月12日から15日にかけて「松納め、小正月厄除け祈祷」が執り行われますが、同時に境内にて「だんご市」と呼ばれる市も開かれ多くの参拝客で賑わいます。縁起物である “だんごの木” が売られ新年の喜びに包まれる様子は昔ながらの佇まいといえるでしょう。

また白河市 年貢町にある龍蔵寺でも毎年成人の日を目安に「年貢町だんご市」が開かれるというはなしもあります(2024年末現在 催行未確認)。参道には「だんごの木」を売る露店や縁日の出店が立ち並び。正月に使った注連縄や松飾りなどを持ち寄り焚き上げる「どんど焼き」も行われれば まさに小正月の雰囲気満点ですね。

 

時代が進むに連れて 合理的な理由からか小正月を祝い楽しむ余裕は失われてきました。
小正月そのものをほとんど知らない世代も増えてきています。

そもそも小正月とは何でしょうか?
いわゆる「正月」とは元々旧暦においてその年の最初の月を表す言葉であったようです。
その中で元日を含め「三が日」又「松の内」が家族で歳神(その年の行く末と安泰を司る神)を迎え奉る日であり祝いの日であったのですが、いつしかその期間そのものを「正月」と呼ぶようになりました。 玄関先に立てる門松は歳神様の依代でもあったのです。

一方、松の内も開けて鏡開きも済んだ15日 家族で小豆粥を食べ「団子挿し」を捧げ、その年の家族の健康や農作物の豊穣を祈る日(もしくは期間)を「小正月」と言いました。
先の 松の内 は小正月に対して大正月とも言ったそうです。
イメージ的には現代の家族で過ごす “お正月” は この小正月の過ごし方の方が近いですかね。

話は少し逸れますが、中国などアジアのいくつかの地域で未だ盛んな「旧正月」はその名のとおり`旧暦の正月’ なのですが、なぜ未だに旧暦で行われるのかと言えば、日本においても西暦と和暦(元号)が併用されているように、各国それぞれに古から続く旧暦やそれに基づく文化を大切にしているからと言われています。
古来より受け継がれてきた文化は時代の変遷とともに薄められ失われてゆく定めなのかもしれません。 しかし、それに込められた人々の安寧と繁栄への願いは昔も今も変わりは無いと思います。

 

人々が幸せに生きてゆく、単純でありながらも難しい、それらの想い・願いを後世に語り継ぐための形、習わしを受け継いでゆくことは大変に有意義なことではないでしょうか?
来る時代に学びながらも古からの教えにも耳を傾けてゆきたいものですね。

 

さて、本年における記事は当ポストにて納めとなります。
新年元旦にご挨拶のみさせていただき、新規ポストは10日(金)から再開予定ですのでご了承くださいませ。

新しい年にも皆様方の「福」が沢山ありますように・・
良いお年をお迎え下さい
本年も拙いブログにお付き合い頂き誠に有難うございました m(__)m

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『福島稲荷神社』 公式サイト

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