冬至も間近、本格的な冬の到来です。
今更申し上げることでもありませんが、冬至は一年で最も日照時間の短い日。
一年で日没が最も早い日は12月の6日前後であるため、12月後半は僅かながらも既に日没時刻は伸びてきています。(翻って日の出の最も遅い日は1月の7日前後)。 日の出と日の入り(日没)の兼ね合いで日照時間が最も限られるのが、その中間辺りに来る冬至の日なのですね。
能書きは何であれ寒いことに変わりはありません。今年は秋の気配が希薄であったり気温の上下動が激しかったり何かと気忙しい気候が続いています。季節の変わり目、体調の維持管理にお気遣いください・・。
さて、動物園の動物たちにも冬はやって来ます。 人間による管理のもとで安全管理された暮らしとはいえ冬の寒さがこたえるのは動物たちとて同じこと。
(歌にもあるように)猫が寒さに弱いのは知られたところですが、総体、サルに類する動物も寒さを好まないようです。 また、キリンやカンガルー、カピバラなども寒さに弱いと聞きますね・・。時折目にする温泉浴に和むサルやカピバラの映像もそういった性質を背景としています。 ご想像のとおり元々 温帯性・熱帯性の動物が寒さに弱いのも道理なのでしょう。
「火」を扱えるのは全ての動物の中で人間だけ・・
人間以外の「動物」は「火」を恐れて近づかない・・
長らくそう思ってきましたが、実際にはそうでもないようです。
それどころか 場合によっては人間のように意図的に火を利用することも出来るようで、驚きというより他ありませんね。
古来 オーストラリア原住民の間には火を使う鳥を示す伝承が有りましたが、これまで動物学的な見地からこの話は寓話の域を出ていない、とされてきました。
しかし、2018年初頭に現地の調査で 本当に火のついた枝を使って狩りをする鳥の存在が確認されたという発表がなされて以来、学界を越えて大きな衝撃の輪が広がっています。
火のついた小枝を拾い、それを枯れ草などが生い茂る草原に落として故意に火事を発生させ、そこから逃げ出す虫達を狙うとされているのは「ファイアホーク」とも呼ばれる3種の猛禽類、往古からの経験則で身についた能力ではないかと考えられています。
2019年9月頃から始まり数ヶ月にわたってオーストラリア東部を襲った大規模な山火事は、(そもそもオーストラリアでは暑乾季であるこの時期に山火事が多い)自然発火もしくは人的な失火が原因ではないかと言われていますが、これらの鳥の行動が延焼拡大の一因になった可能性も否定出来ないのです。
確かに多くの動物が火を恐れるのは事実ですが、ライオンやトラ、ヒグマといった大型捕食獣などには 火を能動的に捉える能力があるようで、学習能力の高さも相まって火をいたずらに恐れることなく むしろ火の有る所には人間が居ると認識し、巧みに火をかわす器量をも持ち合わせているようです。
ボノボをはじめとした霊長類に至っては自分で火をおこし利用する個体まで存在するようで、最早 環境と時間次第ではいつの日か 人間に迫る能力を身につけることも不可能ではないのかもしれませんね。
と、ここまで書いてようやく今日の本題、「千葉市動物公園」のご案内です。
近年、どうしたわけか動物園や遊園地というものに対して子供たちの興味が薄れつつあるようで・・、さらに少子化の影響も手伝ってこれら施設の運営に窮するところが少なくありません。 昭和60年(1985年)千葉市若葉区に開園以降40年近い歴史を紡いできた千葉市動物公園も、併設されていた遊園地の閉鎖や、2023年の “リスタート構想” に伴う整備などいくつもの波濤を超えて歩みを刻んできました。
元々、大型動物の配置などエンタテイメント性のアピールよりも、霊長類や小動物、希少種などをメインとした市民と動物の触れ合いの場、教育的志向を旨とした動物園であるだけに、その歩む道は中々に厳しくまた独自であったでしょう。 世に知られたレッサーパンダの “風太くん” ブームは同公園としては希少な輝きでもあったのです。
公園内、サル山は現在 27頭のニホンザルで集落されているのですが、冬場になると多くが寄り合って “サル団子” と呼ばれる “おしくらまんじゅう” 状態を作り寒さをしのぎます。
このサル達に暫しの暖を取ってもらおうと2018年から始められたのが、サル山でたき火をして おまけに焼き芋まで振る舞おうというユニークな企画。 火は怖いものと知りつつも暖かさに惹かれたサル達が群がり、一度焼き芋の味を覚えると後はもう火の熱さなど二の次。 自ら薪をいじり焼き芋に舌鼓を打つのが興味深い光景です。
同じようなイベントは愛知県のモンキーセンターでも行われていますが、昨今、防火や環境の問題から住宅地でのたき火もままならない中、おき火でじっくりと焼いた焼き芋を美味しそうに ほおばるサル達の姿には、ちょっと羨ましい気もしますかね。
毎年、1月から2月に行われる “サル山 焼き芋” 2025年度の案内はまだ出ていませんが、例年恒例となっているので近い内にアナウンスされることでしょう。
昭和の中盤から平成の初頭まで人々の行楽を受けとめ活況に沸いた遊園地 そして動物園。 時代の趨勢に抗えず寒風の中、動物だけではなく動物園そのものもその身をよじらせてきたようです。
北風に震えるサル達のように寄り合いながらも寒さを耐えしのぎ、燃え上がるたき火のような情熱と ほっこり焼き上がったお芋のようなアイデアで何とか この “冬季” を乗り越えてほしいと願うのは私だけではないと思います。
皆様も「サル山でたき火&焼き芋タイム」はじめ、ぜひ お近くの遊園地や動物園、お久しぶりに出掛けられては如何でしょうか。 きっとそこには、少し懐かしく そして新しい出会いと発見があるはずです・・。
場 所 : 〒264-0037 千葉市若葉区源町 280番地
アクセス : こちらから
営 業 : 開園時間 9時30分〜16時30分(入園は16時まで)
休 園 日 : 毎週水曜日(水曜日が休日にあたる時は翌日)
年末年始(12月29日から1月1日)
入 園 料 : 大人(高校生以上)800円 中学生以下 無料
問い合わせ : TEL . 043-252-1111(代表)