全く知らなかったのですが “国の指定・管理下に関わる公園” というものには いくつかの種類があるようです。
・「国立公園」 自然環境保護の目的で自然公園法に基づき、環境大臣が指定するもの。環境省が管理。
・「国定公園」 国立公園に準じる位置づけで環境大臣指定による自然公園。管理は都道府県。
・「国民公園」 環境省が管理する特殊なケースの営造物公園。”皇居外苑” “新宿御苑” など計5ヶ所。
・「国営公園」 都市公園法に基づき、国土交通省が指定する営造物公園。緑地や文化財立地など多岐にわたり地域の文化育成や交流に寄与する。 大規模災害時には救助活動の拠点となることも見込まれる。管理は様々。
“自然公園” と “営造物(公共に資する建造物や歴史遺産)公園” の違いは分かりますが、指定や管理などについては一般では見分けのつかないところでもありますね。
規模や管理は異なるものの、街角の小さなものも含めて「公園」は人々の憩いと交流、暮らしの潤いと安全を育むものです。 実利や合理性のみでは測れない、社会のオアシスとして発展し続けてほしいと思います。
本日は四国香川県から、この “国営公園” の一つである『国営讃岐まんのう公園』の話題をお届けします。
『国営讃岐まんのう公園』は、香川県仲多度郡まんのう町にある自然公園です。
“1984年4月に事業採択され、1986年10月に建設省四国地方建設局国営讃岐まんのう公園工事事務所(現国土交通省四国地方整備局香川河川国道事務所公園課)が発足し、翌1987年10月より工事に着手。1998年4月18日に第1期開園。その後も整備が進められ、2013年4月21日全面開園した”(Wikipediaより抜粋)
お役所の名前って どうしてこうお固く長いのでしょうねw。
総面積350ha(東京ドーム75個分!)の広大な敷地に・・。
・「自然生態園」 自然をテーマに体験型のイベントプログラムが繰り広げられるフィールド。
・「竜頭の丘」 超大型、約800名を収容可能な全天候型大型テント “ドラ夢ドーム” が象徴的なアミューズメント広場。
・「竜頭の森」「湖畔の森」「さぬきの森」など湖畔から森林浴、アトラクションまで揃った まんのう公園のメインストリーム。
・「ホッ!とステイまんのう」 共同浴場※まで備えた自然満喫のオートキャンプ場。(※浴場営業日 要確認)
などが広がっています。 アウトドアファンならずとも家族・恋人同士の行楽にも、丸一日で遊び尽くせないほどの内容といえるでしょう。 オートキャンプほどでなくても、近隣に宿泊施設もありますので泊まりがけのお出掛けも良いですね。
フィールドの名に “竜頭” の名が所々に見られる “まんのう公園”。 同時に公園のマスコットキャラクターも「ドラ夢(どらむ)」君と呼ばれる竜のゆるキャラとなっています。
これは 地名・園名の由来でもあり「湖畔の森」にある “満濃池” に伝わる民話によるもの・・。 それも一介の伝承にとどまらず、平安時代の説話集「今昔物語」巻二十の第一にも見ることができるのだそうです。
「満濃池の伝説」
今は昔、満濃池に住んでいた龍が池辺で小蛇の姿で日なたぼっこをしていると、鳶になって餌を求めていた近江の国の比良山の天狗がこれを見つけて捕まえて持ちかえり、比良山の洞に入れました。
更に餌を求めつづけた天狗は、京の寺で厠にたった小僧を見つけ、やはりこれを捕まえて持ちかえり龍と同じ洞に入れました。
小僧が持っていた水瓶の水を得た小蛇は龍の姿に戻り、洞を破って小僧を助け、京都の町で僧に化けていた天狗を押し倒しました。それからは、天狗の悪さを耳にすることはありませんでした。
(国営讃岐まんのう公園HP より引用)
龍神伝説といえば、巨大な体躯で暴風を巻き起こしたり、美男・美女に身をやつして人と交わったりする話が多い中、ちょっとイレギュラーな展開と演出で興味深い話となっていますね。
満濃池の歴史を紐解くとさらに興味深く、創築されたのが大宝年間といいますから飛鳥時代、およそ1300年も昔のお話。 時の国造 道守朝臣の命によって造られ、後に弘法大師により修繕されたと伝わります。
長久の歳月が流れる中、数え切れないほどの改修・修繕そして放置が繰り返され、明治時代に大改修を経て復旧。昭和前期に根本的な計画工事を施して その規模も飛躍的に向上しました。 現在、貯水量1,540万トンを湛え国内最大級の灌漑用ため池となっています。
弘法大師・空海のお膝元 讃岐国香川県。 その歴史ある池なだけに上記の龍神伝説以外にも、別バージョンとして “天狗によって傷つけられた竜が空海によって助けられ、その恩に報いるために満濃池を守護している” ・・話だとか。
“讃岐国が大渇水に見舞われたとき、沖合の高見島に住む男が満濃池までやって来て・・。 未だ滔々たる満濃池の水を一升瓶に詰め持ち帰ったものの、地元で取りこぼしてしまい。 泣きながらその水の流れた場所を掘ると、そこから真水が湧き出てきた。 お大師さんの池たる満濃池と高見島の湧き水井戸は、六里の地と海を越えて繋がっている” ・・なんて話も残っています。
まんのう公園「湖畔の森」を訪れたときは、これらの伝説に思いを馳せてみるのも良いかもしれません。
そんな まんのう公園で、冬季のイルミネーション・イベント『ウィンターファンタジー』が年明け1月13日(月祝)まで開催されています。
「Starry Trail ~星空散歩~」が今年度のテーマ。 “竜頭の里” 付近を中心に、星空をイメージした約65万球ものイルミネーションが、地上に天空の大パノラマを出現させます。
『国営讃岐まんのう公園』は、単なる行楽地としての意義を超えて「人間との語らい、自然・宇宙とのふれあい」というダイナミックかつ深遠なテーマを標榜しており、今回イベントテーマもそれに沿ったものでしょう。 [イルミネーション・マップはコチラから]
冬場ともなれば全国各地でイルミネーション・イベントが開かれますが、往古の歴史と伝承に基づいた妙趣の地。 ならでは国営公園に選ばれし “まんのうの里” で見る宇宙は、また格別なものとなるかもしれませんね・・。
最後にオマケのトピックをひとつ・・。
もし「国営讃岐まんのう公園」など香川にお出での際、高松市牟礼町を通られるなら『道の駅 源平の里むれ』に立ち寄られては如何でしょうか?
あまりのヒットで売り切れ続出ですが、源平の里オリジナル【しょうゆ豆カレーパン】【オリーブハマチカレーパン】が買えるかもしれません。 運が良ければですが・・(^_^;)