錦秋の繁栄祈願 豊川稲荷の鎮座祭 – 愛知県

11月になり日中はそれなりの気温になるものの、ようやく秋の気配も深まってまいりました。 愛知県豊川市の「豊川稲荷」で11月16日(土)~17日(日)に秋の大祭(鎮座祭)が執り行われます。

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日本三大稲荷のひとつともされ、地元の人々からはダキニさんの愛称でも親しまれる豊川稲荷。 正式名称は「円福山 豊川閣 妙厳寺(えんぷくざん とよかわかく みょうごんじ)」という曹洞宗のお寺。その鎮守である稲荷明神の名高さで、全国からの参拝者も多く東海地域の観光においても人気のスポットです。

日本三大稲荷と申しましても、その候補とされる稲荷社は十数社にも上るのだとか。 どの社をして三大とするかは解釈によって様々なのですが、京都の伏見稲荷大社はもとより この豊川稲荷も不動ともいえる位置を保っています。

また、京都の伏見稲荷大社をはじめ各地の稲荷社では “宇迦之御魂神 ウカノミタマ” を祀る神社が多い中、豊川稲荷は本尊が寺院でもあるため、もう一方の稲荷明神 “豐川吒枳尼眞天(とよかわダキニしんてん)/ 荼枳尼天(ダキニ天)” を鎮守の神としていることも特徴的といえるでしょうか。(御本尊は千手観音)

 

“荼枳尼天(ダキニ天)” は元々インド仏教において魔神ともいえる存在でありました。人の肉を喰らうほどの凶暴さを持つ夜叉女であったものの 大黒天によって懲伏された後、真言(仏道のひとつ)に帰依し、人の生を見守る神格となりました。

因みに “お稲荷さんの好物→油揚げ=元はネズミを揚げたもの” の図式には、こういった伝承・背景が関わっているという話もあります。

“荼枳尼天の起源そのものはさらに古く、ヒンドゥー教以前の信仰においては “胡狼(ジャッカル)” の化身ともされ、その姿の相似性が後の稲荷信仰に結びついた一因ともいわれています。

日本における神仏習合の歴史の中で、稲荷明神と同神格とされたため、古より聖獣とされたキツネを眷属(けんぞく・神の使い)として伴うようになったのです。

元々の神通力が極めて高く、また豊穣を司る神格を持ち合わせていることから武人・民衆問わず崇敬されました。 ”荼枳尼は人を選ばず” との膾炙から、富める者から貧しき者まで変わらぬ信仰を集め、江戸時代までは “お寺のお稲荷さん” といえば荼枳尼天であったのです。

しかし、仏教由来の神であるが故、明治時代の神仏分離令の煽りを受ける形で祭祀の数を減らしてしまいます。 豊川稲荷は永き伝統と尊崇を護る数少ない古刹といえるでしょう・・。

 

そんな豊川稲荷で行われる秋の大祭「鎮座祭」。 この一年の無事・豊作を感謝し、明年の繁栄を祈念する大祈祷の祭りです。

当日は雅楽が流れる中、神使白狐の面を被った若衆や稚児や神輿などによる「渡御行列」。家屋ほどの大きさの大提灯をはじめとした無数の提灯で飾られる幽玄の道など、古来からの祭りの華々しさと霊妙さを併せ持った古式豊かな祭事が続きます。

また、16日の夕刻から行われる “白狐祭(びゃっこさい)” では、黄昏色に包まれながらの夜店・屋台、数々のイベントなど、昔懐かしい祭りの雰囲気に満たされます。 幻想的な境内のライトアップも奏功して、大人から子どもまで楽しめる一日になるのではないでしょうか。

秋の東海、豊川の伝統祭、その目で是非一度・・。
個人的には “豊川いなり寿司大集合” というのが気になりますけどね・・(^_^;)

『妙厳寺 豊川稲荷』 公式ホームページ

『豊川稲荷 秋季大祭』 Aichi Now 愛知県公式観光サイト

Amazon:『豊川稲荷の密儀とダキニ天の真の姿』

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