鼻長尊 延岡に鎮まる火除けの魔人 – 宮崎県

いつもイナバナ.コムをご訪問いただき誠に有難うございます。

先日(5月の末)より、数年前の記事をベースにした “リライト記事” が続いており、古くから常連となっていただいている皆様には「また コイツ、サボってやがんな」状態ですが、とりあえず 本日文頭はその簡単な申し開きと本更新記事についてご案内申し上げます。

先月 下旬より、9年ぶりの根本的なシステム改変を行っており、インターネット回線、使用PCとその周辺環境 全ての変更を進めております。 要するに仕事の合間を縫いながらの環境の再構築に時間が掛かっているため、新規の記事を書けていない状態が続いたというのが一番の原因です。

構築完了の目途は付きつつありますので、一応、来週 月曜日(もしくは木曜日)分から新規記事の投稿を再開させていただく予定でおります。
何卒、ご容赦のほど宜しくお願い申し上げます。m(__)m  ROCKZOU

* 当記事の記事名も後日「鼻長尊 延岡に鎮まる火除けの魔人」に変更する予定でおります・・。 PS. 23.06.18 記事名修整しました。旧記事名「私と天狗の申し開き」

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『火除けの仏』

さても今は昔 日向の国は北の山間(今の延岡市)に大武(おおたけ)という寂れたお寺が有ったそうな。

この辺りはどうも山火事も多く草木、獲物をとるにも難多い土地なので住む人も少なかった。
そしてこの寺の和尚さん、小事を気にせずあまり身体も動かさず、朝暮の読経以外は日がな一日昼寝をして過すようなお気楽な御仁であったので寺の庭も荒れ放題な有様。

ある日、陽も暮れようとする頃、やはりうたた寝の和尚さん、なにやら遠くから呼ぶ声に目をさまし、戸口に出てみると一人の小坊主が立っている。

「旅の途中で道に迷い一夜の宿を」と乞う小坊主・・ 「たいしたもてなしも出来ぬが」と言いつつも優しく招き入れ夕食をふるまい床をあてがったそうな。

 

翌朝、目を覚ました和尚さん、庭に出てびっくり!
「これが我が寺の庭か!」と声に出すほど綺麗に掃除されている。その様はまるで庭園のごとし。
裏から出てきた小坊主に聞くと一宿一飯の御礼だと言う。さらには掃除や手間事何でもするので寺に置いてほしいと願うので聞き入れることにした。

はてさて、それからというもの小坊主は豆に働き、和尚さんもそんな小坊主に何くれとなく良くしてやり気の合う二人は貧しくも穏やかな日々を過ごしておった。

 

しかしある頃から和尚さん、ひとつの事が気になりだした。
<小坊主は色々早々と働いてくれるが、その働いているところを見た事がない・・>

気になりだすと抑えられぬのが人の難儀な性分。
ある日、夜も明けぬ内に起きた和尚さん、小坊主が起きて庭の掃除をしだす様を陰からのぞいておった。

小坊主、懐から何やら取り出すとそれを一振り、そして二振り、すると巻き風が舞い上がり庭の落ち葉を絡め取りながらやがて天高く消えていった・・。

 

「そなた何ゆえに小坊主の姿をしてここに参られた?」
朝食の時、和尚さんは尋ねられた。

不意の問いに驚いた小坊主、しばしの間押し黙っておったがやがて小息をつき答えるに

「見られてしまったのでは仕方がありません」
「確かに私は天狗であります。天狗の世界の厳しき戒律に疲れ、和尚の如き穏やかな暮らしがしてみたかったのです」

 

小坊主の姿はゆるやかに消えそこには雄々しい天狗の姿があった。

「我が姿を模した像を一体彫りそれを祀って下さい」
「今ままでのご恩のお礼にこの辺りの火事を治めましょう」

そう言い残すと一陣の風とともに消えていった。

 

余計なことを問うてしもうたかと 後悔の念に襲われながらも和尚さん、
その後ひと彫りひと彫りノミを打ち天狗の約束を叶えるために像を彫っていったそうな。

やがて完成した像は「鼻長尊(びちょうそん)」とも呼ばれ大事に祀られた。それ以来この辺りの山火事もぴたりと治まり多くの信仰を集めたそうな・・・。

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大武寺というお寺は宮崎県延岡市に実在しています。
大変立派で豪壮なお寺であり、お話の天狗に関する伝説もしっかり残っているようです。
機会があればぜひ一度お参りしてみたいものですね。

* YouTubeで大武寺の動画を上げておられる方がありましたので、一応ご案内しておきます。

 

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