裏方の鉄道車輌 異形のヒーロー達

当イナバナ.コムでも多くはないものの、鉄道に関連した話題をいくつかお届けしてきました。 “鉄道・交通” というカテゴリーも一応置いていますし、”イベント” や “コラム・トピック” などにも及んで記事にもしています。

サイトの性格上、あまり先進的かつ大規模路線の話題は取り上げず、むしろローカル線のイベントや明治〜昭和時代の鉄道史に絡んだものが多く、普段 気に止まらない “貨物列車” などの記事を書いたこともあるのですが・・。

まぁ、アクセス数を重視するなら、もっと季節や時世にタイムリーな最新旅行記事などを書くべきでしょうが、そこはそれイナバナ.コムの特徴、管理人のへそ曲がり故と割り切ってくださいませ・・w。

 

と いうことで、今回は記事題名のごとく “ちょっと変わった鉄道” 言い換えるなら貨物列車と同じく、大半の人が普段 あまり関わることのない “特殊車両” について書いてみたいと思います・・。

私自身、鉄道マニアというわけではないので詳しくは分からないのですが・・、どうでしょう、その車両は何処の駅や路線上でも、目にする機会は少ないのではないでしょうか。

おそらく人々が多く鉄道利用する時間帯には(いわゆる)”車両基地” や “機関区” と呼ばれる、それら特殊車両を駐留しておく場所に在るのではないでしょうか。 もちろん、日中、一般の旅客列車や貨物列車が往来している区間でも、線路を違えて働いている車両も多いとは思いますが・・。

しかし 今回、それらの車両について調べはじめて、その種類や業務の多様さに正直 驚きました。 その車両とは鉄道そのものを作り出し、そして維持・管理するための “工事車両” “保線車両” と呼ばれるものたちのことです。

 

“工事車両” “保線車両” と一口に言っても、その種類は多岐に渡ります。 一般に知られることは少ないものの、それでもテレビなどで取り上げられ知名度のあるものとしては、東海道・山陽新幹線区間で運用される点検用車両、いわゆる「ドクターイエロー」でしょうか。

世界的にみてもトップクラスの安全性を維持する、日本の新幹線運行の基礎は、この「ドクターイエロー」をはじめとする管理体制によって支えられています。

正式名称は「新幹線電気軌道総合試験車」、約10日に一度の割合で通常車両と同条件で運行を行い、線路や架線、電気や信号通信の状況を点検しています。 保線車両としては珍しく営業時間内の作業運行であり、特徴的なカラーリングと知名度の高さから人気も高い保線車両といえるでしょう。

鉄道運行上の保安には大きく分けて車両そのものの保全と、線路設備等の保全に分けられます。 車両そのものの保全には、主に機器と経験に基づいた人の手によって行われますが(列車検査)、「ドクターイエロー」などは線路の点検とともに、列車の乗り心地に寄与する検測をも行うのだとか。

特殊車両なだけにダイヤなどの公開はされていませんが、稀に一般公開や乗車体験のイベントなども催されているそうです。

 

線路や架線設備に携わる “保線作業” また “線路敷設工事” には、「モーターカー」と呼ばれ、レールや資材を運び工事に資する運搬・作業車両が活躍しているそうで・・。多くの場合、まだ架線が張られていない、もしくは通電していない状況下で稼働しなければならないため、大半はエンジンを用いた気動車仕様となっています。

大きなものでは自重 数十トンにも至り、膨大な重量の資材貨車を牽引したり、現場でのクレーン作業、大型昇降台を利用した高所作業にあたったりするそうです。

また小型のものの中には「軌陸車」といって、トラック自動車や時に軽トラックの車体を用いて、一般道路・線路軌道 両用に作られた作業車もあり、機動性・着手時間短縮などの面で優れているのだとか。都市部などの路線で作業時間が限られる場合などに活躍しそうですね。

 

「モーターカー」などによって運ばれ敷設された線路は、まだ そのままでは完成とはいえません。 高速で走行する列車を安定して走らせ、不要な振動を極力抑えるために、レールをミリ単位で修整する必要があります。

・ レールの上下左右を微細に調整しながら、適切な位置・方向へと修整、バラスト(線路土台の砂利石)を突き動かし固めてゆく「マルチプルタイタンパー車」

・ そのバラストをさらに突き固めて線路の長期安定を図る「道床安定作業車」

・ 万が一の運行事故時にも、被害が最小限で済むように敷設される “逸脱防止ガード” 設置に携わる「逸脱防止ガード敷設運搬車」

・ 高架上に架線を張り巡らせてゆく「架線延線車」

・ その電気設備などの確認点検・保守などに用いられる「電気保全車」

そして 路線完成後、通常列車が営業運行を始める前の「試験車」「確認車」走行など、路線工事完了までには、多彩な作業車・モーターカーたちと人が協力して築き上げてゆく、大きな労力と時間が必要なのです。

 

・ 路線の完成、運用後の保守作業には、レールの傷や摩耗・歪みを検知してゆく「レール探傷車」

・ それらが検出された場合、回転砥石で削り磨いて修整してゆく「レール削正車」

・ トンネルなど構造物内の検査・修理に用いる「構造物作業車」

・ そして、寒冷地など多降雪地域で活躍する「ラッセル車」あれも “保線車両” のひとつといえますね。

など、人々の命と財産を乗せて走る鉄道の安全・維持管理には弛まない努力とともに、様々な特殊鉄道車両の活躍が裏付けられているのですね・・。 因みに これら特殊作業に従事する車両の多くは、”車” という呼び名ながらも単体の “機械” として扱われるそうです。

 

普段、あまり目に留まらず 気に掛けることもない特殊鉄道車両ですが、日々の通勤通学、行楽の足として働く営業列車の運行を、影から支える立役者であり縁の下の力持ちでもあったのです。

決して表には立たない彼ら裏方ではあるのですが・・、その彼らの想いを汲み取った・・というわけでもないでしょうが、昨年 JR西日本管内で “ロボット型保線車両” とでもいうべき「多機能鉄道重機(零式人機ver.2.0)」が登場して話題をさらいました。

画像 © JR西日本

実際に鉄道施設内で試験起動もしたものの、まだまだ本機はプロジェクト段階の域といわれます。しかし、将来的な保守作業はこうした姿に変わっていくのかもしれませんね。

 

最後となりましたが、長野県松本市に営業路線を持つ『アルピコ交通 上高地線』では、所有する工事・保線車両を用いたイベントを逐次開催しています。

人知れず頑張っている、これら裏方のヒーローたちに興味が湧きましたら、時折ホームページなどに目を通してみるのも良いかもしれませんね・・。

『アルピコ交通 上高地線 工事車両添乗体験&新村車両所見学』 O-チケ旅行

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください