海の貴婦人のフルドレス 総帆展帆の日 – 富山・神奈川

大洋に浮かび美麗な姿を際立たせる白亜の艦船はしばしば「海の女王」「海の貴婦人」と 美しく気高い女性に喩えられます。

美しさのみならず、優雅な中にも威風堂々とした佇まいと秘めたるその力量に、見る者も思わず畏敬の念を抱いてしまうのでしょうか。

多くは世界の大洋を股にかける旅客船がそう呼ばれますが、時に覇を振るう戦艦も呼び倣わされることもあり、船舶大国でもあるイギリスでは歴史的な名客船「クィーン・エリザベス」の名を、国家の守護とする最新鋭航空母艦にも冠しているのです。

 

そして、あるいは最も「海の貴婦人」の名に相応しいかもしれない船が、海風に膨大な帆をはらませて進む「トールシップ(大型帆船)」ではないでしょうか。

基本的に自然の力のみを利用して海原を駆ける帆船の姿は、一説には有史5000年とも言われる “船の歴史” を連綿と今に伝えており、それは姿態のみならず、その航行技法にも如実に引き継がれいて、それ故に あらゆる分野で自動化がなされている現代にあっても、操船技術の習得のために 主要な航海訓練機関において帆船が重用されている所以でもあります。

動力船に比べ より自然に添った形で運航される帆船は、真正 船の基本的な動きや操舵を肌に感じながら学び易いのかもしれませんね。

 

日本が世界に誇るトールシップに「日本丸」そしてその姉妹船「海王丸」があります。

現在、就航中の両船はいずれも二代目の新造船体ですが、「日本丸」「海王丸」ともに初代の船体は補修が施された後、それぞれ “横浜市みなとみらい” “富山新港” において母港として公開され、第二の人生を送っています。

富山 新湊 満船飾の「海王丸」

 

「総帆展帆」とは船に装備されている全ての帆を張り広げることを言います。

晴れの日を思わせるフルドレスに身を包んだ 貴婦人の壮麗な姿は、大海原を行く帆船のまさに真骨頂と言えるでしょう。

富山県 射水市、富山湾、「Le Club des plus belles baies du monde(世界で最も美しい湾クラブ)」で、”世界で最も美しい湾” にも選定された この港にある『海王丸パーク』で その姿を見ることが出来ます。

平成4年開園した『海王丸パーク』は国土交通省による「みなとオアシス」構想に属する施設ですが、この施設のアドバンテージは何と言っても その名の如く「初代 海王丸」が常時停泊しており、展示見学をはじめとした様々なイベントを催していることでしょう。

1〜2ヶ月に一度、上記の「総帆展帆」が行われ その勇姿が披露されるとともに、一般参加者による「展帆体験」イベントも行われます。 通常目にする事もない甲板で綱を手に取り白帆を張る作業は、非常に珍しく興味深い体験となるかもしれませんね。

7月 8月には船首からマスト頂をつたい船尾までカラフルな旗を掲げる慶典行事「満船飾」も行われ、訪れる人々の目を楽しませてくれます。

『海王丸パーク』には 海王丸展示だけでなく、野鳥との触れ合いや海浜の自然を満喫出来る「海王バードパーク」、子供たちも喜ぶ「ふれあい広場」や「ピクニック広場」、「新湊観光船」からレストランやカフェなどの休憩施設まで、ご家族で一日を楽しむのに充分な行楽性を持っています。

 

初代「海王丸」が 海王町 新湊を第二の故郷と定めたのは、この地に “富山商船高等専門学校(現 富山高等専門学校)” があり、ここで「海王丸」によって数多の航海士や船舶関係者が育ったことによるものだそうです。

昭和5年の進水以来 60年近くに渡って世界の海を駆け巡りながら、地球を約50周、育てた人員1万1000名の偉業を成し遂げ、縁深く美しいこの港に安寧を得たことは ある意味運命的なことだったのかもしれませんね。

 

みなとみらい ナイトビューに映える「日本丸」

 

近代的な船舶運用に本格的に取り組み始めた昭和5年頃、開発された帆船型海洋練習船は二隻、「海王丸」はその2番船にあたります。

第1番船となったのが「日本丸(にっぽん丸)」、海王丸と同じ船体をもつ同型船であり日本を代表する大型帆船であり、アメリカ建国200年の記念祭典にも参加しました。 世界中の海を往来しその航海距離は180万km、この船から巣立っていった実習生は1万1000名に上ると言われます。

就航以来 54年に渡って練習船の任務を完遂し昭和59年(1984年)に現役を引退、二世である新「日本丸」にたすきを渡しました。

引退後、補修・改修を重ねながら現在は 神奈川県横浜市の “みなとみらい21” に開設された『日本丸メモリアルパーク』の展示ドックに停泊、一般公開がされています。こちらも船内の観覧が可能で、また定期的に「総帆展帆」も催されています。

「横浜みなと博物館」もあり、カヌーやカヤックの教室、フリーマーケットの開催など、都心からも近い場所で大洋につながる夢に溢れたアミューズメント施設と言えるでしょうか。

 

富山県の『海王丸パーク』では旅行好きの間で人気の「ロゲットカード」の配布にも対応しています。横浜『日本丸メモリアルパーク』では、まだカードが発行されていませんが、至近距離にある ”横浜港大さん橋国際客船ターミナル” がロゲットカードを発行しています。
行楽の目的のひとつとして入手するカードも旅の楽しい想い出となるでしょう。

「海の貴婦人」「海の白鳥」などと讃えられた秀麗な姿は、実際に目の前でみてその壮大さが解るというもの。晴天に映える「総帆展帆」機会があれば、ぜひ彼女たちの美しさをその目で確かめてみてください。

 

『 海王丸パーク 』 公式サイト Facebook公式アカウント

場  所 : 〒934-0023 富山県射水市海王町8番地

問い合わせ : TEL 0766-82-5181 FAX 0766-82-5197

 

『 日本丸メモリアルパーク 』 公式サイト Facebook公式アカウント

場  所 : 〒220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい2-1-1

問い合わせ : TEL:045-221-0280 FAX:045-221-0277

 

『LOGet!CARD ロゲットカード』 公式サイト

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