しんじつ秋空の雲はあそぶ 山頭火の旅 - 熊本県

日奈久 ひなぐ と読みます。熊本県八代市 海に面した静かな温泉街です。

この八代温泉街は今も昭和の面影色濃く残す情緒溢れる温泉地ですが、ここを昭和5年9月 ひとりの雲水(旅の僧)が立ち寄りました。 焚き物代のみ支払い40銭、粗末な相部屋で泊まる いわゆる”木賃宿” で3日間を過ごした後、次なる地へと旅立ちました。
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” こころすなほに 御飯がふいた ”
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名を ”種田山頭火”(たねだ さんとうか) 俳句にあって季語も五・七・五の節も打ち捨てた”自由律俳句” で知られた漂泊の俳人です。

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「九月は日奈久で山頭火」 この山頭火 逗留の地 日奈久にて 8月31日から9月の末日まで”山頭火” にまつわる多彩なイベントが行われています。

初段の催しは既に終了していますが、9月22日(日)には山頭火の残した句について語る公演・座談会「山頭火シンポジウム」 翌23日(月)には山頭火ゆかりの地を巡る「山頭火バスツアー」 そして29日(日)には山頭火と同じく雲水の気分を味わいながらのウォーキングツアー「山頭火ウォーク」などが予定されています。

「私は所詮、乞食坊主以外の何物でもないことを再発見して、また旅に出ました、・・歩けるだけ歩きます、行けるところまで行きます。 温泉はよい、ほんたうによい、ここは山もよし海もよし、出来ることなら滞在したいのだが、いや一生動きたくないのだが・・」

旅の疲れ、生きることの苦しみに翻弄され、途中何度も膝を屈しながらも また旅を続けた山頭火、日奈久で残したこの言葉の重みと背景を思いながら旅情を味わうこの企画、俳句に通じていない方でも心に残るものの多い旅となるのではないでしょうか。

 

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山頭火(本名・種田正一)は明治15年(1882年)山口県西佐波(現在の防府市)の大家の長男として生まれました。
利発、学業優秀な少年で、後には東京専門学校(後の早稲田大学)まで上がりましたが、幼い頃、自ら命を絶った母の出来事が生涯 心の重しとなり 後の漂泊の人生に導かせたとも言えるでしょうか。

若い頃から好きであった俳句は、既に30代には句壇に響いていましたが、退学、実家家業の破産、実弟の自殺、離縁 と次々と襲う人生の辛苦は彼を疲弊させ追い詰めてゆきます。

やがて仕事も家庭も全てを捨てて残る半生を行乞(施しを受けながら旅する行)に身を委ねる人生となりました。

旅の空で多くの句と日誌を残しましたが、この日奈久に立ち寄る直前 それまでの日誌の全てを焼き捨てています。
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” 焼き捨てて日記の灰のこれだけか ”
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句を詠み、旅を続ける山頭火、俳句仲間との交流は細々と続いており、その世話で何度か庵を結んでもいました。 大酒を好み節制も崩れがちなところから1939年に愛媛県松山市の一角に「一草庵」を定めひっそりと暮らしていましたが、翌1940年 脳溢血に因する心不全で彼岸へと渡りました。 57歳のことだったと言います。

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終生、母親の死の影を心の奥に宿しながら、また不器用にしか生きられなかった山頭火

彼の残した句には侘しさを湛えた句も少なくありませんが、しかし、不思議とも言えるほど自然に親しみ溶け込んだ清々しい句が多く見られます。
それは旅すがらの自然や自分自身を読み込んだ内容であったり、冒頭でご紹介した ごく日常の風景であったりと様々ですが、その根底に流れているのは正に「ありのまま」の風景、「ありのまま」の自分ではないでしょうか。

亡くなる前、最後に詠んだ句が以前 NHKのドラマでも紹介されていました。
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” もりもり盛りあがる雲へあゆむ ”
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自らの死 間近を感じていたのかどうかは分かりませんが、この句には、晴れ渡った空に沸き起こる入道雲目指す、快活、爽やかな姿と想いしか感じられません。
「ありのまま」の中に生きる力強ささえ伝わってきますね・・

山の彼方まで旅立った山頭火、苦しみや悩みの中に生きたからこそ泰然の境地に至っていたのかもしれません。

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山頭火を巡る旅「九月は日奈久で山頭火」 あなたの旅のご予定に如何でしょうか。
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” それでは 二本の足よ 歩けるだけ歩け 行けるところまで行け ” (行乞記)
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「九月は日奈久で山頭火」 公式ホームページ

期  間   2019年8月31日〜9月31日(月)

日  程   9月22日(日)公演・座談会「山頭火シンポジウム」
.       9月23日(月)ゆかりの地を巡る「山頭火バスツアー」
.       9月29日(日)ウォーキングツアー「山頭火ウォーク」 他

場  所    熊本県八代市日奈久温泉街

ア ク セ ス   肥薩おれんじ鉄道「日奈久温泉駅」から徒歩10分

問い合わせ  日奈久温泉観光案内所 TEL.0965-38-0267

 

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