泰平の世の一目惚れ? 反正天皇の伝承 - 大阪府

世はなべて平和、 結構なことです。

戦に明け暮れるような世相では当然ながら安寧な生活など望めませんし、一人の強権者が横暴を振るう世の中でも心の落ち着く暇もありません。
後世に語り継がれる情話などの中には戦乱や権力に翻弄されたお話しも多く、それはそれでドラマチックに語られ悪くはないのですが・・ やはり当事者であったり当時の民衆であれば「感心してる場合じゃない」状況であったでしょう。

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反正天皇(はんぜいてんのう)は世に名高い仁徳天皇の第三皇子として淡路島でお生まれになりました。
当時、都は今で言う大阪周辺であったのに何故淡路の生まれなのかと言うと、その頃淡路島は皇族の御糧地(ごりょうち / 特産品などを貢がせる場所)であり、又、遊猟地(狩りを楽しむ場所)でもあったのです。(要するに王族のプライベートリゾートという感じですかねw)
そのリゾート地に仁徳天皇が行幸された際、同行されたお后 磐之媛命(いわのひめのみこと) が当地で産気づき出産されたのが 瑞歯別尊(みずはわけのみこと) 後の反正天皇であったそうです。
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瑞歯別 は歯並びの美しさを褒め称えた呼び名で、反正天皇は見目も麗しく又、体格もたいそう立派な方だったとされています。(まぁ9尺2寸半 / 約3m(古事記より) の身長は無かったと思いますが・・w)
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仁徳歴87年、父、仁徳天皇が崩御された後、第一七代天皇となられたのが長兄であった履中天皇(りちゅうてんのう) ですが、この天皇がお后を娶ろうとした折、問題が勃発してしまいました。天皇の遣いとしてお后となられる黒媛をお迎えに行った次兄 住吉仲皇子(すみのえのなかつみこ) が黒媛に一目惚れ?何と横取りしてしまったのです。
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当然、履中天皇は激怒しますが 事ここに及んで住吉仲皇子は陳謝に上がるどころか、手のひらを返したように先手を打って兄 履中天皇の住まう難波宮を急襲、宮殿に火をかけます。不意を突かれた天皇でしたが間一髪 脱出に成功、現在の生駒山南部の路を抜け奈良県 石上神宮へと避難しました。

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一人の女性をきっかけに謀反事件にまで至り完全に対立してしまった兄弟でしたが、結果的に住吉仲皇子を誅伐、時勢を平定したのが今話の主役 第三皇子 瑞歯別尊でした。
おかげで履中天皇は都へ帰り咲くことが出来、天下に平和が戻ったのです。

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この功績もあり又、他に年齢適応者がいなかった事もあって、後年おとずれた履中天皇の崩御を受けて瑞歯別尊は第一八代天皇となられ反正天皇と称されました。
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反正天皇は現在の大阪府松原市に都をとし「柴籬宮 / しばがきのみや」を置かれました。
その治世は戦乱もなく穏やかで、また民衆の生活も安定していたと伝えられています。
松原市に残る伝承によると、天皇はその高い身分にも関わらず 毎日のように馬を駆り自ら村々の状況を見てまわられるような方だったと伝えられています。

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ある日、いつものように天皇が馬にまたがり とある村の丘を通りかかった時のことです。
小高い丘の上から とても晴れやかな笑顔で村々を見渡している一人の娘を目にとめられました。


その笑顔に惹きつけられるように天皇は娘に近づき 穏やかに尋ねられました
「見かけぬ顔だが そなたはこの村の者かね?」


娘は一瞬驚いたようでしたが たじろぐこともなく答えました
「私はこの村の者ではございません、自分の田畑も持たない貧しい者なので村々を巡り、旅すがら拾い集めた藁や柴を売って口をつないでおります」


しっかりとした口調で答える娘を ますます気に入られた天皇はさらに聞かれました
「なるほど・・ ところでここで何をしていたのかね? たいそう ご機嫌のようだが・・」


ゆったりと春風のような笑顔をそのままに娘は答えました
「ここから見渡す村々は平和と活気に満ちあふれております、この地の帝様のお治めは噂に聞いたとおりでした。 私はこれから先もこの地に居たいと思っていたところです」


ここまで聞いて天皇も決心なされたのでしょうか
「よかろう! その望み私が取り計ろう、そなたは これよりこの地で住まうがよい!」


こうして娘はこの村へ住むこととなりました。
反正天皇は村長にとりなし この地に娘の住まいを定めたのです。
そして娘が立っていたこの丘を「高見ノ里」と名付けられました。


さらに後、娘と天皇は結ばれることとなり「柴籬宮」にも度々上がられたということです。

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「太平の世の一目惚れ?」という題名で松原市に残る伝承をお届けしました。
前半の 住吉仲皇子 の 黒媛 に対する想いも一目惚れでしょうが、いわゆる横恋慕の類であり言ってみれば`陰’なる恋、対して反正天皇と高見の娘は出会いも気持ちも`陽’なる恋。
どうせなら、想いも晴れやか、絆も健やかな恋にめぐり逢いたいものですね。

 

 

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